お葬式コラム

今ドキの遺影写真。いろいろできます!

遺影写真の形式は決まっていると思っていませんか?印刷技術が進歩し、デジタル化が普及した現代では遺影写真の表現も進化しています。今回は、できることが広がっている今ドキの遺影スタイルをお届けします。

遺影写真選び。押さえておきたいポイントは「3つ」だけ。

遺影写真とは、故人を偲ぶために祭壇中央に飾る「故人の写真」のこと。お葬式でご家族や参列者が対面してお別れをする大切なものですから、故人の生前の人柄を表した写真を選びましょう。

とはいえ、遺影写真選びをむずかしく考える必要はありません。押さえておきたいポイントは3つだけです。

「故人の人柄がわかる」
「ピントがあっている」
「いい表情をしている」

この「いい表情」というのは、ご家族が思う「いい表情」でかまいません。故人が明るくおおらかな方でしたら大きな笑顔で、まじめで実直な方でしたら真剣な眼差しのお顔でもいいでしょう。迷ったら2〜3枚ほど用意し、葬儀社に相談するとアドバイスをもらえます。

写真のサイズや保存方法は、どんなものでも大丈夫。現代は技術が進歩しています。プリント写真から引き伸ばせますし、スマートフォンなどで撮ったデータ画像のプリントも可能。他の方がいっしょに写っている集合写真からも、故人だけを切り抜けます。

遺影写真とはこういうもの、と思い込んでいませんか?

昔からよく目にする、単色の背景に故人の写真を切り抜いて配置した遺影写真。これが形式だと思われがちですが、遺影写真に決まりごとはありません。「こうでなくてはならない」という思い込みを払拭し、もっと自由にお選びください。

全身写真でもOK

遺影写真は表情を大きく見せるバストアップが定番ですが、他のアングルでも問題ありません。ゴルフ好きの故人であればスイングしている全身カットを、ダンスが趣味だった方ならポーズをとっている姿を使用してもいいでしょう。

撮影時の年齢はいつでもいい

遺影写真は亡くなった年齢に近い時期に撮影したものが推奨されます。故人がそれまで生きたことを証明できてよいのですが、こだわる必要もありません。輝いていた年齢はひとそれぞれ。若い頃の姿でも印象に残る素敵な遺影写真になります。

カメラ目線にこだわらない

カメラ目線のものを遺影写真にすれば、お葬式でご家族や参列者が故人の目を見てお別れできます。カメラ目線でいい表情の写真があればうってつけですが、見つけられない場合もあります。目線にこだわり過ぎず、よい表情のものを選びましょう。

背景があってもいい

遺影写真の背景は単色か、単色のグラデーションが定番。とはいえ、背景がある写真をそのまま遺影にすることも可能です。旅先での記念撮影や趣味の山登りでの一コマなど、イキイキとした生前の姿を切り取った写真があれば、背景をいかして使用しましょう。

好きなサイズで飾れる

カメラ目線のものを遺影写真にすれば、お葬式でご家族や参列者が故人の目を見てお別遺影写真のサイズは祭壇に飾る「四つ切サイズ(25.4 cm×30.5cm)」と仏壇などに置く「L判サイズ(8.9cm×12.7cm)」が一般的ですが、好みのサイズでもOK。大きなパネルにする方もいます。ただ、祭壇とのバランスがありますし、セットプランに含まれないものは別途費用がかかる場合もあります。事前に葬儀社とご相談ください。

遺影はひとつでなくてもいい

遺影はひとつしかダメ、というわけではありません。生前の故人をイメージさせる写真をいくつか用意して飾ることもできます。スペースがない場合は、祭壇に大きいものをひとつ置き、別の場所にメモリアルコーナーを設けて複数の写真を並べてみるのもいいでしょう。



進化した遺影写真。こんなこともできます!

デジタル加工の発達や新しいハードウェアの登場などで、近年の遺影写真はより魅力的に仕上げられるようになりました。できることの一部をご紹介します。

コーディネートを変えられる

表情はよくても着ている服が気に入らないときは、元写真を加工して服装を変更できます。また、スーツを着た方のネクタイを変更したり、ドレス姿にコサージュをつけたり、元写真のコーディネートにアレンジを加えてより華やかにすることも可能です。

背景画像を合成できる

遺影写真に背景があってもいいと前述しましたが、その背景をデジタル技術で追加できます。桜が好きだった故人であれば背景を満開の桜でうめられますし、ゴルフが趣味だった方はバックにグリーンをあしらってもいいでしょう。葬儀社はいろいろな背景を用意していますので、どんな素材があるのか問い合わせてください。

黒以外の額を選べる

遺影には黒額が定番でしたが、最近はカラフルな色額も人気です。とくに遺影写真がカラーの場合、写真とのバランスを考えて似合う色が選ばれています。また、故人が好きだった色やよく着ていた服の色などを取り入れれば、故人らしさも表現できます。リボンや花などエレガントな装飾を額縁にプラスしても素敵です。

動画や静止画を映す液晶遺影も

現代の遺影はプリントした写真を飾るだけではありません。液晶ディスプレイを活用すれば、何枚もの静止画をスライドショーのように映したり、動画を流したりすることも可能です。また、遺影写真に光を当てる電照額などもあります。

これらのアレンジは葬儀社によってできない場合があります。事前に確認しておきましょう。



遺影写真は準備しておいたほうがいい?

遺影はお通夜から使用します。制作時間を考えると写真を選ぶ時間はあまりありません。短時間で最適な写真をセレクトするのはむずかしいですし、ご家族が故人の写真の保管場所を知らない場合もあります。生前に写真を準備しておくとご家族の負担を軽減できるだけでなく、故人もお気に入りの遺影写真で送られることができます。

近年は遺影用の写真撮影をプロのカメラマンに依頼する方も増えてきました。プロの手による写真はとても美しく仕上がりますし、カメラマンから写真を撮られる体験はいい記念にもなります。終活のひとつとして、遺影写真の生前撮影はおすすめです。

また、葬儀社によって遺影の扱いは異なります。プランにセットされているものでもアレンジできることがあるので、まずは葬儀社へ相談しましょう。どのような遺影にすればいいのかわからない方も、お葬式のプロのアドバイスで具体的にイメージしやすくなります。


佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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