最近、注目されているお葬式の生前予約とは?
お葬式コラム
エンバーミングとは? 選ばれる理由をお教えします!
「エンバーミング」という言葉を耳にしたことはありませんか。エンバーミングはご遺体を長期保存できる技法のことで欧米では一般的。日本でもお葬式プランのオプションとして近年は人気が高まっています。なぜ、エンバーミングが選ばれているのか? その理由をご紹介しましょう。
エンバーミングって、どんなもの?
エンバーミングはご遺体に消毒・殺菌や防腐処置を行い、さらには修復も施すことで“故人を生前のような美しい姿で長期保存できる”技術のこと。通常、何もしていないご遺体は時間とともに腐敗が進んでいきます。しかし、エンバーミングをしておけば腐敗しにくくなり、梅雨や暑い夏の時期でもよほど熱い場所で安置する場合以外は、常温で保存できるといわれています。
日本でエンバーミングは「遺体衛生保全」「死体防腐処理」とも呼ばれ、1974年に川崎医科大学ではじめて導入されました。その後は専門機関であるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)の活動もあって、次第に認知度を向上。年を追うごとに施術件数は増加していき、家族葬プランでも人気のオプションとなっています。
エンバーミングは欧米を中心に発展してきましたが、その理由は埋葬方法の風習にあります。欧米で大勢の人が信仰するキリスト教は死者の復活を信じているため土葬が主流。自宅から遠く離れた場所で死亡してもご遺体を火葬できず、そのまま運ばなければなりません。さらには、土の中で腐敗が進んだご遺体からは悪臭や細菌が拡散する恐れもありました。それらを予防するためにも、防腐処理をしっかりしておく必要があったのです。
火葬が定められている日本では、エンバーミングは必要のない処置だという見方もあります。しかし、欧米のように遺体を衛生的に保存するといった目的だけでなく、“生前の美しい姿でお別れできる”といった情緒的な魅力にも惹かれて選択されているご家族も多いようです。
エンバーミングのメリット。
エンバーミングの大きな特長は、ご遺体を美しい状態で長期保存できること。そこから時間や気持ちにゆとりができ、故人とご家族の“心ゆくまでのお別れ”が実現できます。考えられるメリットはこちらです。
長期保存できるから、ゆとりのあるお別れができる
エンバーミングにより10日〜2週間程度、ご遺体を常温で保存できます。余裕をもってお葬式や火葬の日程を組めるため、遠方からくる親族を待ったり、火葬炉の空きがないためにお葬式を遅らせたりするケースでもあせらずに対応できます。また、時間の余裕は気持ちのゆとりにもつながり、心を落ち着けて故人とゆっくりお別れしたいというご家族の願いも叶えられるでしょう。
感染症を予防し、お子さまでもご遺体にさわれる
エンバーミングではご遺体に衛星保全処理を施します。ご遺体は衛生的な状態をキープでき、特有のニオイもほとんどありません。細菌やウイルスなどからの感染を予防し、お子さまやお年寄りなど、免疫力の低い方がご遺体にふれられても安心です。 そのため、ご遺体のお顔に触れたり、手を握ったりしても安心です。
ドライアイスを使用せず、違和感なくご遺体とふれあえる
エンバーミングをしない場合はドライアイスをお棺に入れたり、保冷室に保管したりしてご遺体の状態を保ちます。ご遺体にのせるドライアイスは重たいですし、霜や凍結の心配もあります。さらに、エンバーミングをしておくとご遺体が冷たくならず、硬直することもないためご家族が違和感なくふれあえるのも魅力です。
美しく修復し、生前の姿でお別れできる
ご遺体を修復できるのもエンバーミングの大きなメリット。損傷箇所だけでなく、痩せてしまったフェイスラインや顔色、表情なども整え、眠っているようなやすらかなお顔に仕上げていきます。生前のような姿を取り戻したご遺体に故人がお気に入りだった洋服や着物をまとわせ、きれいなお化粧を施すことで美しい旅立ちを演出できます。
エンバーミングのデメリット。
もちろん、エンバーミングにもデメリットはあります。メリットとデメリットを知ったうえでご希望されるお葬式スタイルやご家族の想いとマッチするのかなども考慮し、お選びください。
価格が高く、ご家族の負担になる
エンバーミングはほとんどの場合でお葬式プランに含まれておらず、別途費用が発生します。基本料金は専門機関であるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が規定しているため、業者によって大きな差がでることはありません。ご遺体の状態によっての変動はありますが、20万円前後が相場となっているようです。
専門施設に搬送し、ご遺体と離れてしまう
エンバーミングは設備の整った専門の施設で、「エンバーマー」と呼ばれる専門の技術者や医療従事者が施術します。ご遺体を一時的に預ける必要があり、搬送も含めて数時間はご家族と離れてしまいます。
処置のために、ご遺体にメスをいれる
エンバーミングはご遺体を消毒・洗浄するだけでなく血管に防腐剤を注入するため、皮膚を切開します。切開は必要最小限にとどめ処置後には縫合しますが、ご遺体にメスを入れることに抵抗を感じる方もいらっしゃるようです。
遺体を清める「湯灌」と「エンバーミング」はどう違うの?
納棺の前にご遺体をきれいに整える方法は、エンバーミングのほかに「湯灌(ゆかん)」があります。エンバーミングと湯灌の大きな違いは、遺体保全処置をしているか、していないか。エンバーミングはご遺体を消毒・殺菌したのちに防腐処置をしますが、湯灌は昔ながらの儀式として執り行われ、ご遺体の表面を洗い清めます。
湯灌は故人の現世での穢(けがれ)を洗い流して来世への安らかな旅立ちの準備を行う儀式。ご遺体の衛星保全に重きを置くエンバーミングと違い、儀式としてご家族が立ち会いながら行うのが湯灌です。
儀式として湯灌を取り入れたい場合は、エンバーミングを施したあとに執り行ってもいいでしょう。
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