お葬式コラム

家族葬のお通夜とは?基本の流れや費用、注意すべきマナーを解説

家族葬は、親族や親しい友人だけが集まり、故人との最期の時間を静かに過ごすことができる葬儀形式で、最近はこの家族葬を行う人が増えてきました。その一方で、家族葬においてはお通夜を行わないケースも増えています。
この記事では、家族葬におけるお通夜の基本的な流れや費用・マナーに加え、なぜ最近お通夜が省略されることが多いのか、その背景についても詳しく解説します。家族葬を考えている方はぜひ参考にしてください。

家族葬とは?一般葬との違いや費用の目安

家族葬とは親族と近しい人だけで執り行う葬儀のこと

家族葬は、その名の通り、家族やごく親しい友人だけが参加する小規模な葬儀です。一般的な葬儀と比べて、参加者が少ないため、より親密で静かな雰囲気の中で行われます。例えば、両親や兄弟、親しい友人だけが集まり、故人との最期のお別れをじっくりと行うことができます。このような形式の葬儀は、遺族の意向や故人の希望に沿った、個人的で柔軟な対応が可能です。

家族葬と一般葬の違いは?

家族葬と一般葬の大きな違いは、参加者の数と葬儀の規模です。一般葬は、広く知人や友人、会社関係者など、多くの人々が参列する大規模な葬儀です。式典も厳格に進行され、礼儀や慣習に従った形式が重視されます。
一方で家族葬は、参加者が限られているため、形式にとらわれず、より自由な形で進められます。例えば、故人の好きな音楽を流しながら、思い出話を語る時間を設けるなど、個々の家族のスタイルに合わせた進行が可能です。このため、家族葬は遺族の精神的な負担が軽減され、より心温まるお別れの場となることが多いです。

家族葬の費用は?

家族葬の費用は、一般葬に比べて比較的低く抑えられることが多いです。一般的に、家族葬の費用は50万円から100万円程度が目安とされていますが、これは葬儀の規模や内容により変動します。
例えば、式場を利用せずに自宅で行う場合や、装飾や祭壇を簡素にすることで、さらに費用を抑えることができます。反対に、こだわりのある装飾や特別なサービスを追加する場合は、費用が増えることもあります。

基本的な家族葬の流れ

家族葬も一般葬と同様に、通夜・葬儀・火葬の流れで進行します。ただし、規模や進行においては家族の意向が強く反映されます。

通夜

通夜は、故人との最初のお別れの場です。家族葬では、一般的な通夜と同様に、遺族や親しい人々が集まり、故人を偲びます。しかし、参加者が限られているため、より親密な雰囲気の中で行われ、家族が心を落ち着けて故人との時間を過ごすことができます。

葬儀

葬儀では、宗教的な儀式が行われ、故人の魂を送る準備が整います。家族葬の場合、進行が柔軟であるため、宗教的な儀式に加えて、家族独自の思い出を振り返る時間を設けることもできます。

火葬

最後に、故人の遺体を火葬します。家族葬では、火葬場でも少人数で行われるため、静かで落ち着いた時間を過ごすことができます。この時間を通じて、家族は故人と最期の別れを告げることができます。

家族葬のお通夜の流れと時間は?

家族葬のお通夜の流れ

家族葬のお通夜は、一般的な通夜と同様の流れで進行しますが、家族葬ならではの特徴があります。

事前準備

お通夜に先立ち、遺体の安置や祭壇の準備を行います。家族葬では、祭壇や飾りつけに特別な配慮をすることが多く、故人が好きだった花や写真を飾るなど、個性的なアレンジが可能です。

受付

参列者を迎えるための受付が設けられますが、家族葬では参列者が少ないため、形式的な受付を設けない場合もあります。家族が直接、参列者を迎えることもできるため、より温かみのある対応が可能です。

お通夜

参列者を迎えるための受付が設けられますが、家族葬では参列者が少ないため、形式的な受付を設けない場合もあります。家族が直接、参列者を迎えることもできるため、より温かみのある対応が可能です。

通夜振る舞い

通夜後には、参列者と一緒に食事をする通夜振る舞いの時間があります。家族葬では、食事も故人の好物を中心に用意するなど、個人的なこだわりを反映させることができます。

終了

お通夜が終了した後、家族は一旦家に帰り、翌日の葬儀に備えます。家族葬では、終わりの時間も自由に設定できるため、家族の負担を軽減することができます。

お通夜の所要時間

家族葬のお通夜は、通常の通夜と同じく、夕方から夜にかけて行われ、全体で2時間から3時間程度が一般的です。しかし、家族葬の場合、参列者が少ないため、終了時間も家族の意向により早めることが可能です。例えば、故人の体調や家族の希望に応じて、短時間で終えることもできます。

家族葬のお通夜のマナーは?

周囲の理解を得てから行う

家族葬のお通夜を行う際には、まず周囲の理解を得ることが非常に大切です。家族葬は、一般葬と異なり、規模が小さく、参列者が限られるため、これまでの伝統的な葬儀とは違った形式となります。そのため、事前に親族や親しい友人、さらには近隣の住民に対して、家族葬を行う意図や理由を伝え、理解を求めることが重要です。
例えば、近隣の方々が故人との関わりが深かった場合、突然、一般葬ではなく家族葬を行うことを知らされたら、驚きや不満を抱くかもしれません。「どうして自分たちは呼ばれなかったのか」「何かあったのか」といった誤解や混乱を避けるためにも、家族葬を選ぶ理由を事前に説明することで、余計なトラブルを防ぐことができます。
また、家族葬では参加者が限られるため、参列できなかった親族や友人からの不満が生じる可能性もあります。例えば、「どうして知らせてくれなかったのか」と後から指摘されることが考えられます。このような事態を避けるために、事前に家族葬の方針を伝え、理解を得ることが大切です。具体的には、「故人の遺志により、家族だけで静かに送りたい」「高齢の親族が多く、負担を減らすために小規模な葬儀を選んだ」といった説明を添えておくと良いでしょう。

香典や供物、弔電の辞退も伝える

家族葬では、香典や供物、弔電の辞退を希望することが多いです。その場合、参列者に事前にその旨を伝えることで、誤解やトラブルを避けることができます。例えば、「香典や供物の辞退をお願いしております」といった案内を葬儀の案内状に記載しておくと、参列者が安心して参加できるでしょう。

弔問に来た人は受け入れる

家族葬であっても、弔問に訪れる人々を受け入れることは重要です。弔問に来た人々に対しては、家族が直接対応し、感謝の意を伝えると良いでしょう。また、弔問者に対する対応も、家族の負担を軽減するために、葬儀社のサポートを受けることができます。

参加者の服装や香典、供物のマナー

家族葬では、参加者の服装や香典、供物のマナーについても、事前に伝えておくことが大切です。一般的には、黒を基調とした服装が推奨されますが、家族葬の場合、故人や家族の意向により、カジュアルな服装を許容することもあります。香典や供物についても、辞退する場合や、特定のものだけを受け入れる場合は、その旨を明確に伝えると良いでしょう。

家族葬ではお通夜を行わない?お通夜が減った理由は?

家族葬では、お通夜を行わないケースが増えてきています。お通夜が減った理由としては以下が考えられます。

時間・費用の負担を抑えられるから

お通夜を行うとなると、会場の準備や式典の進行に追加の時間と費用がかかります。遺族にとって、特に高齢の方々や仕事の都合がある方にとっては、お通夜を行うことで時間的な負担が増すことがあります。さらに、費用面でも、お通夜を省略することで全体の葬儀費用を抑えられるというメリットがあります。

「家族葬」という形にはお通夜の意味合いも含まれるから

もともとお通夜には、故人が亡くなった夜に、家族や親しい人々が集まり、故人との最後の夜を過ごすという意味合いがあります。しかし家族葬自体が、お通夜のように、故人と遺族の間でより親密で個人的な時間を持つことを目的としているため、ならばお通夜は省略しようと考えるのも不思議ではありません。

家族や親しい人だけでの葬儀を望む人が増えているから

現代の生活スタイルや価値観の変化も影響していると言えるでしょう。昔は葬儀やお通夜は地域社会全体で故人を偲ぶ重要な儀式でしたが、都市化が進む中で、近隣のつながりが薄れ、故人を中心とした広範なコミュニティが集まる機会が減っています。これに伴い、家族や親しい友人だけが参加する家族葬では、お通夜を行わなくても十分に故人を偲ぶことができると考えられるようになりました。

宗教にとらわれずに故人を送る人が増えているから

また、宗教的な儀式に対する捉え方の変化もあります。宗教的な儀式としての通夜を重視しない家庭が増えており、宗教にとらわれずに故人を送る方法を選ぶ人が増えています。こうした背景から、お通夜を行わない家族葬が一般的になりつつあるのでしょう。

まとめ

家族葬を選択する際、お通夜を行わず葬儀を1日のみで行うケースも増えつつあります。お通夜を行わないことで、時間や費用の削減になるだけでなく、遺族がより心を落ち着け、故人との最期の時間を大切に過ごすことができるというメリットが考えられます。
しかし、日本における葬儀はお通夜と告別式がセットなのが伝統であり、お通夜を省略するのはまだまだ一般的ではないこと。ゆえに親族や親しい人から不満が出る恐れも考えられます。このため、家族葬を選ぶ際には、お通夜を行うかどうかを含めて、家族全体で慎重に話し合うことが重要です。ぜひ今回の記事を、自分や家族の葬儀の際にどんな形を取るのがベストなのかを考えるきっかけにしてみてください。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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