お葬式コラム

通夜、葬儀、告別式。意味を知っていますか?

「通夜式」や「葬儀式」、「告別式」など、お葬式で行う儀式には意味があります。なんとなく知っているだけでも式はできますが、意味や役割をちゃんと理解しておけば、納得してそれぞれの式を大切に執り行えるのではないでしょうか。

故人とのお別れの入り口となる「納棺の儀」。

納棺の儀とは、安置している遺体を棺におさめる儀式。最近はお葬式をせずに火葬のみ行うケースもありますが、この場合でも遺体を棺に入れます。つまり、どのような形態でも納棺の儀は執り行うのです。
納棺の前に故人は旅立ちの準備をします。身体をきれいにして装束へと着替え、最後のお化粧をして身だしなみを正すのです。映画でも有名になった納棺師は、身支度をサポートしてくれる専門家。プロの手を借りてもいいですし、家族がしても問題ありません。
身支度できたら納棺の儀へと進みます。家族や親族など数人で遺体を抱えて棺へと移し、故人の愛用品やお花などで周囲を飾ります。
納棺の儀への流れは、故人とお別れするための入り口となる大切な時間でもあります。家族は旅立ちの支度を整えていくことで故人と向き合え、ゆっくりと心の整理ができるのです。

「通夜式」は、故人を語り合う場でもある。

お葬式の前に行う通夜式。本来は家族や親戚など近親者のみが遺体を囲み、死者に変わりがないように見守りつつ故人と最後の夜を過ごす儀式のことをいいます。家族など故人に近い人が夜を通してそばにいることから、「通夜」と呼ばれてきたのです。

時代とともに通夜式のあり方は変化し、現代では数時間で終わる半通夜が主流。また、仕事をもっている方は日中のお葬式より通夜式のほうが参列しやすいため、一般の弔問客にも開かれている場合がほとんどです。

通夜式は「夜伽(よとぎ)」とも呼ばれ、仏教ではお釈迦さまが入滅された(亡くなった)ときに弟子たちがお釈迦さまの説法を7日間かけて互いに聞きあった古事を起源としています。
遺体のかたわらで、故人と親しい人々が夜を通して思い出を語るから「夜伽」。現代の通夜式で夜通し語り合うのはむずかしいですが、通夜式のあとには「通夜ぶるまい」があります。集まったみなさんで思い出話に花を咲かせ、故人との最後の夜を過ごせば心のこもった弔いになるでしょう。

ところで、静かで沈んだ雰囲気のことをよく「お通夜のような〜」と表現します。近年の通夜式は夜伽のように故人を偲んで語り合うにぎやかな場になりつつありますし、この表現がそぐわなくなる日も近いかもしれませんね。

お葬式には「葬儀式」と「告別式」の2つの式がある。

お葬式の開式時に司会者から「ただいまより葬儀ならびに告別式を執り行います」という言葉を聞いたことがあるかと思います。実は、通常のお葬式では葬儀式と告別式という、それぞれ意味の異なる2つの儀式が行われます。

葬儀式は、家族や親族など近親者が故人の冥福を祈って霊魂を鎮め、この世からあの世へと送りだす宗教的な意味合いが強い儀式。仏教では戒律を与える「授戒」で死者を仏弟子とし、「引導」により極楽浄土へと導くなど、僧侶が主導して行います。

告別式は、一般の方が故人に別れを告げる社会的な儀式。友人や知人、仕事関係の仲間が故人と最後のお別れをするために参列し、焼香や献花をします。こちらは喪主が主導します。

とはいえ、近年は簡略化して葬儀式と告別式をひとつの流れとして行うのが一般的。僧侶が読経し、家族や親族が焼香を終えると葬儀式が終了。弔電を披露して、一般会葬者の焼香がはじまると告別式に移っています。

基本情報もお葬式のプロにきいてみよう!

通夜や葬式、告別式の違いをご紹介しましたが、こちらはあくまでひとつの説です。地域や宗教・宗派によって意味や役割は異なりますので、ぜひご自身の地域や宗教でもお調べください。

ところで、お葬式の基本情報に興味をもったとき、どう情報を得ればいいのか迷いませんか? 便利なインターネットや専門書で調べてもいいのですが、自分に合った情報がすぐに見つかるとは限りません。

おすすめはプロにきくこと。菩提寺の僧侶はもちろん、葬儀社にきいてもいいでしょう。葬儀社には知識豊富なお葬式のプロがいます。プランの相談だけでなくお葬式の基本情報や疑問、質問にもお答えしますので、気軽にお問い合わせください。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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