お葬式コラム

お葬式が終わったあとにする、いろいろなこと。

お葬式が終わって、ほっとひと息。つきたいところですが、故人の弔いは続いていき、準備が必要なこともたくさんあります。「知らなかった!」とあわてないために、今回は四十五日までにやっておきたいことをご紹介します。

四十九日までに、やっておきたいリスト。

葬儀・告別式を執り行い、火葬で故人を見送るとお葬式は終わります。大きな役目を終えたご家族は心身ともに一段落つくころ。そのままゆっくりとした時間を過ごしつつ故人を偲べればいいのですが、残念ながらそうはいきません。一ヶ月少し先となる四十九日までにやっておきたいことは、想像以上にたくさんあるのです。

  • 7日ごとの法要
  • 申請や請求などの手続き
  • 四十九日法要の準備
  • 香典返しや礼状の手配
  • お世話になった方へのあいさつ
  • 自宅での弔問客の対応
  • 本位牌や仏壇の準備
  • 遺品整理や形見わけ
  • 相続の相談
  • お墓、納骨方法の検討 …など

ざっとピックアップしただけでもこれだけあります。事前に把握しておけば時間のないなかでも落ち着いて対応できるので、こちらの記事を参考にしながらそれぞれのご家庭に適した〈やることリスト〉の作成をおすすめします。

また、「7日間ごとの法要」は、

「申請や請求などの手続き」については、

こちらのコラムで詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

四十九日法要はすぐにやってくる。早めに準備を!

仏式では、故人が亡くなった日から四十九日までを「忌中」といい、故人を偲ぶ期間。お祝いごとや派手な行事はできるだけ避けてください。そして、忌明けの四十九日に追善供養となる法要を開きます。四十九日法要はとても大切な儀式。お葬式を終えたら、なるべく早く準備に取り掛かりましょう。

準備1:日程を決める

四十九日法要は、基本的に亡くなった日から49日目を迎えた日に行います。その日が平日でご家族やご親戚が集まりにくい場合は休日に調整しても問題ありません。ただし、後ろにずらすのではなく、直前の土日など必ず49日目より前に設定してください。開催できる日は限られているので、親族がそろっているお葬式の直後に話し合われて決めるといいでしょう。

準備2:法要・会食の会場を手配する

法要を営む場所に決まりはありません。菩提寺がある場合はそこにお願いし、おつきあいのあるお寺がない方はご自宅を会場にしてもいいでしょう。また、お葬式を行った葬儀社やセレモニーホールにお願いするのも一案。プロのスタッフが準備から法要までトータルでサポートしてくれ安心です。
法要のあとは「お斎(おとき)」と呼ばれる食事をするのが一般的。レストランや料亭を予約するか、仕出し屋などに頼んで法要料理を手配してください。

準備3:僧侶に依頼する

菩提寺があればそのお寺の僧侶に依頼し、ない場合はお葬式に来ていただいた僧侶にお願いするといいでしょう。葬儀社でも紹介してもらえます。
僧侶の都合がありますので日程や場所が決まったらすぐに連絡し、スケジュールを押さえます。あわせて、会食をごいっしょいただけるのかの確認もお忘れなく。
また、同日に納骨するのであれば、そのことも伝えておきましょう。

準備4:参列者を決めて連絡する

法要の日程や会場が決まったら、参列者に連絡します。往復はがきなどを使った案内状を送るのが本来の方法ですが、親しい方なら電話やメールでお知らせしてもかまいません。案内状には「縦書き」「句読点を使わない」などマナーがあるので、書き方例などを参考にして作成するといいでしょう。
法要にどこまでの範囲の方を招待するのかは自由です。「たくさんの人と供養したい」「家族のみで行いたい」などみなさんで話し合い、ご希望の規模で行ってください。

このほか、参列者への「引き物」や僧侶に渡す「お布施」なども必要。こちらも準備しておきましょう。



位牌の準備は納品までの時間を考慮しておく。

お葬式で使用した白木位牌は仮の位牌。四十九日以降は正式な本位牌へと切り替え、法要で僧侶が「魂入れ(開眼供養)」を行います。この本位牌には名入れなどの作業が発生するため、購入から納品まで1〜2週間程度の期間を要します。時間がかかることを踏まえ、余裕をもってお店に依頼しましょう。

本位牌の種類とサイズ選びのポイント

位牌とは、故人の戒名や法名を記した「木牌(ぼくはい)」のことをいい、故人の魂が入る大切なもの。カタチやデザイン、大きさによってさまざまな種類があるので、納得するものをお選びください。
・塗位牌:漆を塗り重ね、金箔や蒔絵の装飾が施されている位牌
・唐木位牌:黒檀や紫檀などの硬い木を使った木目が美しい位牌
・回出位牌/繰出位牌(くりだしいはい):戒名などを書いた札板を複数収納できる箱型の位牌
・モダン位牌:デザイン性が高く、現代のインテリアになじむ位牌

位牌のサイズは「寸(一寸は3cm)」が基準で、4〜5寸(約12cm〜15cm)が一般的。ご先祖の位牌より少し小さめで、安置する仏壇の大きさも考慮してサイズを決めましょう。

浄土真宗は位牌ではなく過去帳を用意するなど、位牌のルールは宗派や地域などによって異なる場合があります。依頼する前に、菩提寺の僧侶や親族の詳しい方に確認しておくと安心。頼る人がおらず不安な方でも、仏具店や葬儀社など供養に関することに精通した人がいるところに相談すればアドバイスをもらえます。

仏壇は住まいや暮らし方に合わせて選んでいい。

本位牌は仏壇に安置します。お家にない方は四十九日までに用意しましょう。現代は和室や仏間のない住宅が多く、仏壇の設置場所に悩まれる方もいます。仏壇の形態は住まい方に合わせて多様になり、小さなサイズやおしゃれなデザインなどバリエーションが豊富。リビングなど洋間に似合うタイプもありますので、いろいろご覧になってお選びください。

仏壇の種類

仏壇には大きくわけて3つの種類があります。

  • 金仏壇・塗り仏壇
    白木に漆やカシューを塗り、金箔・金粉で装飾したもの。内部が黄金に輝く豪華な仏壇です。宗派によって形状や内部のつくりが変わります。
  • 唐木仏壇
    木目の美しさをいかした、シックで落ち着いた雰囲気の仏壇。黒檀や紫檀といった硬い木材を使い、耐久性にも長けています。
  • 家具調仏壇
    デザイン性が高く、洋風のお部屋にも似合うモダンな仏壇。カラーやサイズ展開も豊富で、省スペースで置ける小型タイプも人気です。

仏壇選びのポイント

ほとんどの宗派は仏壇に決まりごとを設けていませんので、ご家族の好みやライフスタイルに合ったものを選んで差し支えありません。とはいえ、金仏壇は宗派によって形状などが変わりますし、なかに飾る仏具にも違いがあります。ご家族の宗派にそった仏壇を確認し、仏壇店と相談しながら決めるといいでしょう。
仏壇選びで大切なのは、置く場所。仏間といった専用の場所がない場合は設置スペースを確保し、その場所にふさわしいものを選んでいきます。例えば、落ち着きのある和室なら伝統的なタイプが、洋間であればモダンなデザインが似合います。タンスや棚の上に置きたいなら、小さなサイズを選びましょう。
注意点は、位牌とのバランス。大きなサイズの位牌は小型の仏壇に入らないことがあります。確認したうえでご購入ください。

役目を終えた白木位牌や後飾りはどうすればいい?

四十九日を境に不必要になるものもあります。「白木位牌」と「後飾り」です。 後飾りとは、火葬した遺骨を忌明けまで自宅でお祀りしておく祭壇のこと。「自宅飾り」や「後壇」、「中陰壇(ちゅういんだん)」とも呼ばれ、三具足の仏具(花立・火立・香炉)を置いて供物や生花などを飾るのが一般的。仮の位牌である白木位牌も四十九日法要までこの祭壇に安置しておきます。 お葬式のプランに後飾りがセットされていれば、葬儀社が訪問して一式を設置してくれます。

白木位牌と後飾りの処分方法

仏式であれば、白木位牌と後飾りは四十五日で役目を終えます。白木位牌は法要時に僧侶が本位牌へと魂を入れ替えていますが、それまでは故人の魂が宿っていたもの。僧侶に引き取ってもらい、お焚き上げをしてもらいましょう。
それに対し、後飾りはご自身で処分できます。お住まいの自治体のルールに従って一般ごみとして捨てられ、お清めなども無用です。ゴミとして処理することに抵抗がある方は葬儀社に連絡し、引き取りをお願いしてみてください。

供養袋をご存知ですか?

故人が愛用していた衣類や寝具、また手紙や日記など生前の想いが込められたものなどを供養したのちに処理してくれる遺品整理サービスがあります。「供養袋」などと呼ばれ葬儀社がオプションとして取り扱っていることも多いようです。このようなサービスを利用し、愛用品とともに後飾りを整理してもいいでしょう。

お葬式のあと、葬儀社はどこまでお手伝いしてくれるの?

お葬式が終わったあとのサービスは葬儀社によって異なりますが、供養に関することのプロとしてお葬式後も相談にのってくれるところがほとんど。また、各専門会社と連携し、本位牌や仏壇の準備、遺品整理、相続手続きなど多岐にわたってサポートしてくれる葬儀社もたくさんあります。

葬儀社は、お葬式が終わったあともおつきあいが続くパートナーです。信頼のおける会社を選び、なんでもご相談ください。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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