お葬式コラム

大切なお棺。どう選べばいい?

納棺から火葬までご遺体をおさめるお棺は、故人が最後の時間を過ごす大切な場所。また、会場では祭壇前のもっとも目立つ場所に置かれ、お葬式の中心的な存在になります。故人さまにとっても、ご家族にとっても大切なお棺をどのようにして選べばよいのか? そのヒントをお伝えします。

そもそも「お棺」とは? どんな意味があるの。

お棺は、ご遺体をおさめる入れもののこと。読みは「おひつぎ」です。納棺により故人はこのお棺のなかに安置され、ご家族やご親族、参列者と対面しながら最後の時間をゆっくり過ごします。 お葬式を終えると出棺し、ご遺体はお棺とともに火葬されます。日本では、お棺におさめられた状態でないと火葬できないので、どのようなスタイルのお葬式でも必ずお棺が必要になります。

「お棺」「お柩」「棺桶」、違いはある?

「お棺」の呼び方には、他に「お柩」「棺桶」などがあります。お棺とお柩はどちらも「おひつぎ」と読みますが、それぞれ漢字の意味が異なることから、お棺は“なにも入っていない空のもの”、お柩は“ご遺体がおさめられたもの”をさすとの説があり、ご遺体をおさめた“ひつぎ”を運ぶ霊柩車には「柩」が使われています。

とはいえ、厳密に使い分けられてはおらず、現代ではご遺体がおさめられている、いないに関わらず「お棺」を使うのが一般的なようです。

また、棺桶は、漢字のとおり“桶型”のものをさします。お棺にはご遺体を寝かせておさめる「寝棺」と座らせておさめる「座棺」があります。土葬が主流だった昔の日本では座棺のほうが運びやすく、埋葬しやすかったため、桶のような形状のお棺にご遺体をおさめていたともいわれています。その名残から、現在でもお棺の総称として棺桶を使う人がいるようです。

お棺の種類。材質の違い。

お棺は素材や形状によって種類が大きくわかれます。まずは、材質の違うお棺のタイプを取り上げます。

木棺

昔ながらの木製のお棺です。素材には桐やヒノキといった天然木材、2枚のベニヤ板と芯材を貼り合わせたフラッシュ材などが使われます。木目が美しい天然素材のお棺には、各面に彫刻(二面彫刻や三面彫刻など)を施したり、全体的に漆を塗るなどの装飾ができますが、内容に応じて費用が高額になります。
また、軽くて比較的安価なフレッシュ材のお棺には、特殊なシートを貼りつけることによって木目調にできます。

布棺・布張棺

表面を布で覆っているお棺。張る布は「布帛(ふはく)」と呼ばれ、絹や木綿、麻などが素材に使われています。布帛の色や絵柄はバリエーションが豊富で、故人のイメージに合わせたデザインを選べることから人気となり、近年はこのタイプが主流です。価格帯がお手頃なのも選ばれている理由のひとつです。

エコ棺

ダンボールや間伐材を使用したお棺。ダンボールは他の素材より短時間で燃えやすく、二酸化炭素の排出量も少ないといわれています。環境問題への関心の高まりを受け、取り扱いは年々増えています。
ダンボールのお棺と聞くと簡素なものを想像しがちですが、中身はエコな素材を使いつつ表面は布帛でしっかりカバーしています。見た目の美しさは布棺に引けをとりません。

エンバー棺

エンバーミングを施したご遺体のためのお棺。通常、ご遺体の腐敗を遅らせる為、ドライアイスをお棺に入れ、蓋を閉める必要があります。
エンバーミングを施したご遺体は常温で保存できるうえに、生前のような姿を取り戻しています。故人との対面を重視したエンバー棺ではアクリル製パネルを中蓋にし、お姿がしっかり見えるよう工夫しています。



お棺の種類。カタチの違い。

お棺は形状にもいくつかの種類があります。宗教や宗派によっては決められている場合がありますので、菩提寺などに確認しておくといいでしょう。

箱型棺

蓋が平らな箱型のお棺で、箱型棺やキャスケット型棺、平棺(ひらかん)とも呼ばれます。表面に飾りがなく、シンプルな長方形をしています。

山型棺

お棺の蓋が山型(台形)に盛り上がっているタイプ。シンプルな箱型棺と比べると、装飾性が高くなっています。

組み立て型棺

簡単に組み立てられるお棺です。使用するまで折りたたんで保管できる便利な仕様で、生前にお棺を準備したい方にも適しています。

船型棺

頭部が広く、足元にむかって狭くなっていく形状のお棺です。主にイギリスで使用され、外国映画に登場するものをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。英語で棺を意味する「Coffin」から、コフィン棺とも呼ばれます。

かまぼこ型棺

丸みのあるフタが特徴のお棺です。R(あーる)型棺とも呼ばれ、かまぼこのような形状をしています。

インロー棺

インローは、「印籠」のこと。フタの縁が二段になり、本体にかぶさるようになっているお棺です。印籠のようにはめ込み式になっていることから、この名で呼ばれるようになったといわれています。



まずはサイズを確認! 失敗しないお棺選びのポイント。

お棺選びで重要なのがサイズ。サイズを決めてから、材質や形状などお好みのものを選びます。また、葬儀社のお葬式プランにはセットされたお棺がありますが、オプションで他のものを選べる場合がほとんどです。ご家族で話し合い、満足のいくお棺をお選びください。

お棺のサイズを選ぶ

故人の身長や体重を葬儀社に伝えてサイズを決めます。お棺の一般的な長さは6尺(180cm)ですが、170cmくらいの小さなものや190cmオーバーの大きなものも存在します。ゆとりをもってお棺におさめるため、ご遺体の身長プラス10cm〜15cmを目安にします。
また、火葬できるお棺のサイズに制限を設けている地域もあります。詳しい情報は葬儀社が把握していますので、アドバイスを受けながら選ぶといいでしょう。

材質や形状を選ぶ

お棺の種類から、材質や形状を選んでいきます。宗教・宗派や地域の習わしがあるケースもありますので、菩提寺など詳しい人に確認しておくと安心です。もちろん、ご家族のお好みで選んでも問題ありません。

価格を確認し、検討する

お棺の価格は、材質や形状、装飾の有無でも大きく変わります。どんなお棺を選んでもお葬式は執り行えますので、ご家族の想いと価格のバランスを考えてベストな選択をしてください。

迷ったら、故人の嗜好や思考を参考にする

お棺は多種多様にあるため、迷ってしまうこともあります。そのときは、故人の好みや考えを思い出してみましょう。布棺の場合であれば、故人がよく着ていた服の色や模様をイメージしてみると選びやすくなります。また、環境問題への意識が高い方だったのであれば、エコ棺で送ると喜ばれるのではないでしょうか。



アレンジしてもよいの!? 最近のお棺事情。

最近はご家族の手でお棺を装飾することも人気です。いくつかのアイデアをご紹介します。

お棺に寄せ書きをする

長方形の箱であるお棺には、寄せ書きのように文字を書くことも可能です。ご家族の想いをお棺本体に書き込んでおくと、そのメッセージとともに故人は旅立てます。文字だけでなく絵を描いてもいいですし、まだ字がかけない小さなお子さまなら手形をペタペタと押しても暖かみのある装飾になります。故人への思い出を語り合いながらみなさんで寄せ書きをしてみるのもいいでしょう。

外側をデコレーションする

お棺の外側もお好みでデコレーションできます。生花や造花を飾ってみたり、リボンでラッピングしてみたりしても華やかです。また、ご家族の手でつくった折り鶴を張りつけても素敵です。近年のお葬式はご家族の想いを表現することを重視する傾向にあります。お棺も自由な発想でデザインしてみてはいかがでしょうか。

内側に写真を貼る

お棺の内側にもアレンジを加えられます。例えば、ご自宅のお写真を引き伸ばしてプリントし、側面に貼れば、慣れ親しんだお家の雰囲気をお棺のなかに再現できます。写真は旅行先での思い出の景色やよく散歩した近所の光景でもよいでしょう。故人が最期を過ごす空間を、お好みの写真で演出してみるのも素敵なアイデアです。



お棺のなかには故人の思い出の品などを副葬品として入れられます。副葬品にできるもの、できないものなど詳しい情報はこちらのコラムをご覧ください。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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