お葬式コラム

シンプルに故人を見送る、 「直葬」「火葬式」というスタイル。

「直葬」という言葉を耳にしたことはありませんか? 「火葬式」とも呼ばれるこのお葬式スタイルは、一般的な形式をとらずシンプルに故人を見送ります。お葬式の多様化とともに注目され、近年は取り扱いが増加している直葬の意味や内容、さらにはメリット・デメリットなどもご紹介します。

そもそも直葬・火葬式とは? 一日葬とどう違うの?

直葬は「ちょくそう」または「じきそう」と読み、宗教的儀式である通夜式や葬儀・告別式を行わず、火葬のみで故人を見送るお葬式スタイルのことをいいます。火葬だけを行うので「火葬式」とも呼ばれ、参列する方は近親者のみのごく少数で1〜10名程度が多いようです。一般的なお葬式は通夜式の翌日に葬儀・告別式を執り行い、その後に火葬する2日間にわたる儀式ですが、直葬は火葬だけの見送りなので1日で終えられます。

また、1日だけのお葬式として「一日葬」という形態があります。こちらと直葬の違いは、葬儀・告別式があること。つまり、通夜式をせず、“葬儀・告別式から火葬を一日で行う”のが一日葬です。



最近、直葬・火葬式が増えているのはなぜ? その背景は?

直葬というスタイルは以前からあったのですが、その多くは経済的に余裕のない方がやむなく選ばれていたようです。しかし、時代の変化とともにお葬式という儀式への捉え方が多様化しています。近年は金銭面だけでなく、「残された家族に手間をかけさせたくない」という故人の意思や、「できるだけシンプルに故人を見送りたい」というご家族の考えから、あえて選択する方が増えているのだとか。

また、直葬は都心部で増加の傾向にあるといわれています。都会では地域社会とのつながりが希薄になりがちなうえに、核家族化によって遠くにいる親族との関係性が薄くなってしまう場合もある。そのため、一般的なお葬式をする必要がなく、さらには経済的にも助かることもあって選択される方が多いようです。

お葬式は、どのようなスタイルであっても“残された人が故人を見送る”という行いは同じです。シンプルなカタチでも、心を込めて故人を見送ることで立派なお葬式になるのではないでしょうか。



直葬・火葬式の内容や流れはどうなっているの?

通夜式や葬儀・告別式をしない直葬といっても、亡くなった場所から火葬場に直行するわけではありません。逝去から火葬までどのような流れで進行するのか、取り扱う葬儀社によって内容の変化は多少ありますが、一般的なものをご紹介します。

〈ご逝去日〉

葬儀社に連絡→お迎え

逝去後すぐに、ご家族から葬儀社に連絡。葬儀社がご遺体を搬送する車や担当スタッフを手配し、病院など亡くなられた場所へ故人をお迎えにあがります。

安置所へ搬送→安置

ご自宅など、ご遺体を安置する場所へ搬送。ご自宅での安置がむずかしい場合は、葬儀社などの施設にお願いします。火葬する日まで、そのままご遺体を安置。安置している期間、ご家族は故人と面会できます。※安置施設によっては故人と面会ができなかったり、面会時間が限られていたりする場合もあるので確認が必要です。

葬儀社と打ち合わせ

葬儀社の担当スタッフから今後の流れや内容について説明があり、段取りを決めていきます。担当スタッフはいろいろ相談にのってくれるので、ささいなことでも疑問や不安を感じたら質問し、要望があるならこの場で伝えておきましょう。


〈火葬日〉

納棺の儀

仏衣などを着せ、来世へ旅立つための支度を整えた故人をお棺に納めます。このとき、副葬品として故人の思い出の品や好きだったものをお棺のなかに入れられるので、準備しておくといいでしょう。

出棺

故人を納めたお棺を専用の車両で安置所から火葬場まで搬送。参列者も火葬場に移動します。

火葬→収骨

火葬炉の前で参列者と故人が最期のお別れをしたのち、火葬します。火葬を終えたら、参列者がお骨を骨壺に納めて直葬は完了。そのまま初七日・精進落しを行う方も多いようです。

ところで、僧侶による読経はないの?

直葬では僧侶の読経を必ず要するわけではありません。しかし、故人が旅立つ前にお経をあげてもらいたいと願う方はたくさんいらっしゃいます。そのため、僧侶を火葬場に招き、火葬の前に読経いただいて故人を見送ることが多いようです。僧侶は菩提寺からお呼びするか、菩提寺がない・わからない場合は葬儀社に相談して手配してもらいましょう。


直葬・火葬式のメリットやデメリットを知っておきましょう。

ほかのお葬式スタイルと同様に、直葬にもメリットとデメリットがあります。それらを把握して、直葬が自分たちに適しているのかを考えてみましょう。

〈直葬のメリット〉

ごく限られた人数で落ち着いて見送れる

例えば小規模の家族葬であっても参列者はそれなりにいます。また、宗教的儀式を行うので僧侶をお呼びしてもてなす必要もあります。直葬はごく限られた方のみが参列し、僧侶を招かなくても問題ありません。気を遣うことがほとんどなく、落ち着いて故人を見送れるのは直葬の大きなメリットです。

費用を安くできる

通夜式や葬儀・告別式を省いて火葬のみを行うため、お葬式自体の費用はかなりリーズナブルになります。さらに飲食代や車両代、返礼品の用意などお葬式にまつわる物事の出費も抑えられます。

1日でお葬式を終えられる

通常のお葬式では通夜式から葬儀・告別式を2日かけて実施しますが、直葬は安置からすぐに火葬するので1日で終えられます。時間拘束が少ないため、忙しくて休みがとりにくい方に適しています。

準備の時間と手間が省ける

通常のお葬式では会場や祭壇の手配から料理・返礼品の用意まで、さまざまな準備を短時間でしなければいけません。葬儀社がサポートするにしても、多くの手間がかかります。直葬ではそれらが必要ないため、ご家族の負担は精神的にも肉体的にも軽くなるでしょう。

遠方で亡くなった場合、直葬→本葬の流れにしても

故人が遠方で亡くなったとき、時期や距離などの理由からご遺体の搬送がむずかしくなることがあります。その場合は、ごくわずかな近親者だけが現地に出向いて直葬。日を改めて、親族や友人・知人たちがいる地元でお別れ会などの形式をとった本葬を催してもいいでしょう。


〈直葬のデメリット〉

故人とゆっくり過ごせない

安置所から火葬場へ直行してそのまま火葬するため、故人と過ごす時間は短くなります。火葬炉の前で行う最期のお別れもそう長くはとれないので、故人とゆっくりお別れしたい方には不向き。故人と過ごす時間を大切にするなら、家族葬を検討してみましょう。

社会的なお別れができない

直葬にはごく限られた人たちだけが参列するため、故人が社会のなかで関係を築いてきた方々はお葬式でお別れできません。そのため、直葬後に訃報を知った方がご自宅に訪ねてくるケースも多いようです。

直葬を理解してもらいにくい

通夜式や葬儀・告別式を行わない直葬を快く思わない人もいます。伝統を重んじる親族がいらっしゃると、考え方の相違からトラブルにつながる場合もあるようです。親族はもちろん、故人と親しかった方にも事前に連絡を入れ、故人の意思やご家族の意向で直葬を選択したことを丁寧に伝えて理解を得ておくといいでしょう。

菩提寺に納骨できない可能性もある

直葬は宗教的な儀式を省いており、菩提寺の僧侶による読経もしていないケースがあります。宗教・宗派の考えやしきたりにそって行うお葬式を推奨している寺院では直葬を快く思わず、納骨を断られることもあるのだとか。直葬を選ぶときは菩提寺への事前相談をおすすめします。

葬祭料をもらえるのか? 確認しておく必要も

健康保険組合や自治体には葬儀費用の一部を負担する制度があります。「埋葬料」「葬祭費」と呼ばれるこれらは申請によって支給されるのですが、直葬の場合“葬儀が行われていない”と判断されたケースがあったようです。直葬を検討している方は、故人が加入していた健康保険組合や自治体に確認しておくといいでしょう。


シンプルなスタイルだからこそ、葬儀社選びが大切!

火葬のみでシンプルに故人を見送る直葬は葬儀社を介入させずに執り行うことも可能で、自分たちだけで手配できればさらに費用は抑えられます。しかし、搬送や安置、火葬の手続きを素人がやるのは困難。プロにまかせるのが無難でしょう。

また、お願いする葬儀社も「火葬だけだからどこもそんなに変わらない」と思われがちですが、シンプルだからこそ対応の違いが顕著に現れます。セットプランの場合は内容が充実しているか、担当スタッフがどこまでサポートしてくれるのかなどを吟味して慎重に選びましょう。検討している方は、直葬・火葬式を取り扱っている葬儀社へ事前に相談するのがおすすめです。



佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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