最近、注目されているお葬式の生前予約とは?
お葬式コラム
死亡届や死亡診断書について教えて!
日本では、人が亡くなると届出をする義務があります。そのときに必要なのが「死亡届」。では、死亡届は誰が書いて、どこに提出するのでしょうか? 今回は「死亡届」や「死亡診断書」といった、人が死亡したときの書類について解説。どれも、普段なじみのないものばかりです。いざといときのために、知識としてもっておくことをおすすめします。
死去後にまずやるのが、「死亡診断書」を受け取ること。
「死亡診断書」は人が亡くなったことを診断するもので、医学と法律の両面で死亡を証明する書類です。これがないと法的に人の死亡が認められず、まだ生存しているとみなされるため、火葬や埋葬の許可がおりません。さらには納税のなどの義務も継続してしまいます。
医学的にも法律的にも死亡を証明する死亡診断書は死亡後に発生する手続きの起点であり、お葬式など故人の供養のはじまりとなる大切なもの。臨終後はまずこちらを受け取りましょう。そして、故人の名前や住所などをしっかり確認し、万が一、間違いがあればその場で伝えて訂正してもらってください。
死亡診断書の記入は医師がする
死亡診断書は、人が亡くなった事実を医学的に証明するもの。死亡に至るまでの経緯を可能な限り詳細かつ正確に表す義務があるので、基本的に死亡に立ち会った医師や歯科医師が診断して記入します。これまで故人を診療していた、かかりつけ医が死亡時に立ち会えなかったケースもあるでしょう。そのときは死亡後にかかりつけ医が改めて診断し、生前に診療していた傷病と関連した死亡であると判断されれば死亡診断書を書いてもらえます。
死亡診断書と死体検案書の違い
死亡診断書と同様の効力をもつものとして「死体検案書」があります。死体検案書も人が亡くなった事実を医学的・法律的に証明する書類ですが使い分けされています。
死亡診断書は“生前に診療していた病気やケガが原因で死亡した”ときに交付されるのに対し、死体検案書は“生前に診療していない”もしくは“診療していた病気やケガと関連しないものが原因で死亡した”ときに作成されます。例えば、事故死や自死のケースでは医師が死亡の経緯を把握できませんので、ご遺体を検案して死亡の事実を医学的に確認するのです。そのため、死体検案書の交付は医師のみが可能で、歯科医師はできません。
また、故人が事故など外因により死亡した場合や、その疑いがあるときは24時間以内に警察へ届け出る必要があります。
死亡診断書と死体検案書の内容
死亡診断書と死体検案書の書式は医師法によって定められており、記入する項目も死亡に関する医学的な事実を正確に表すものになっています。
●死亡診断書(死体検案書)の内容
・故人の氏名や性別、生年月日
・死亡した日時
・死亡した場所(種別、施設名、住所)
・死亡の原因(死因や原因、期間など)
・死因の種類(病死や自然死など)
・外因死の追加事項(傷害が発生した日時や場所など)
・生後1年未満で病死した場合の追加事項
・その他 特に付言すべきことがら
・診断した日付や医師の署名など
死亡診断書は国の統計をとる役割も
死亡診断書と死体検案書は人間の死亡を医学的・法律的に証明するとともに、国の死因統計を作成するときの基礎資料にもなります。国として死因を統計し、正しく把握するのはとても重要なこと。医学をはじめ、さまざまな分野の研究においても死亡診断書は貴重な資料となるのです。
死亡診断書の入手方法。誰からもらえばいいの?
死亡診断書や死体検案書は医師が交付するもの。入手の手続きは死亡した場所や状況によって異なります。
医学的にも法律的にも死亡を証明する死亡診断書は死亡後に発生する手続きの起点であり、お葬式など故人の供養のはじまりとなる大切なもの。臨終後はまずこちらを受け取りましょう。そして、故人の名前や住所などをしっかり確認し、万が一、間違いがあればその場で伝えて訂正してもらってください。
病院で亡くなった場合
故人が生前に入院しており、そこで臨終を迎えた場合は、診療を担当していた医師が死亡診断書を書いてくれます。発行にあたっての手続きもとくに必要ありません。
ご自宅や施設で亡くなった場合
故人がご自宅や病院以外の施設で亡くなったケースでは、生前に診療を受けていたか・受けていなかったかによって発行の手続きが違います。
●病院で診療を受けていた場合
診療を受けていた病気やケガに関連したことが原因で死亡したのであれば、担当していた医師(主治医やかかりつけ医)が死亡診断書を作成します。医師が臨終に立ち会えなかったら、死亡後にご自宅や施設に医師が来て診察します。ただし、最後の診療から24時間以内の死亡で死因が診療していた病気やケガと関連していれば、診察せずに死亡診断書を発行することもあります。
●病院で診療を受けていなかった場合
故人が病院で診療を受けていなかったり、診療を受けていてもその病気やケガと関連のないことが原因で死亡したりしたのであれば、死亡診断書ではなく死体検案書を作成してもらいます。死体検案書の記入は医師しかできないので、かかりつけ医がいるならそこに連絡し、いない場合は救急に連絡しましょう。ご自宅や施設に医師が来て診断し、不審な点がなければ死体検案書が発行されます。
事故で亡くなった場合
故人が事故にあってしまい病院に運ばれたのちに死亡した場合は、病院で亡くなったときと同様に診療を担当した医師が死亡診断書を作成します。病院に搬送される前に死亡が確認されたり、不審な点があったりするなら警察に連絡。指定の医師がご遺体を検案し、死体検案書を書いてくれます。また、旅行先などご自宅から遠く離れた場所で亡くなられたときは現地の医師が検案し、死体検案書を作成します。
死亡診断書は誰でも受け取れるの?
死亡診断書は、基本的に故人の配偶者や子ども、父・母などの親族、またはそれらの方から委任された代理人が受け取ります。第三者が気軽に受け取ることはできないのでご注意を。また、受け取るためには身分証明書を提示する必要があるので用意しておきましょう。
死亡診断書と死体検案書の料金
死亡診断書の発行には公的な保険が適用されないため、料金が発生します。金額は発行する場所によって異なり、医療機関であれば3,000円〜20,000円程度、介護施設などでは5,000円〜10,000円が一般的です。
死体検案書になると検案代が加わるため料金はぐっと上がり、30,000円〜100,000円もの金額が必要になるケースがあります。
「死亡届」は「死亡診断書」と一体になった書類。
「死亡届」は人が亡くなったことを法的に証明する書類で、正式には「死亡届書」といいます。日本の戸籍法では人が亡くなると役所など行政機関への死亡届の提出を定めており、その届けが受理されることで戸籍や住民票において死亡の事実が認められます。それによって故人を火葬・埋葬する公的な許可がおり、許可証を交付してもらえます。つまり、死亡届を出さずに火葬したり、埋葬したりすると違法になってしまうのです。
死亡届は、死亡診断書と一体になっているのが一般的です。A3サイズ用紙の右半分に死亡診断書(死体検案書)、左半分に死亡届が印刷されています。医師から死亡診断書を受け取ることで死亡届も入手できるので、ほとんどの場合は死亡届をご自身で準備する必要はありません。
ただし、一部の医療機関ではA4サイズの死亡診断書のみを発行するケースがあるので、そのときは死亡診断書と別に死亡届を手配します。用紙は市役所などの窓口や病院で入手でき、インターネットのサービスからダウンロードすることも可能です。わからなければ、葬儀社の担当者に確認するといいでしょう。
誰が、いつまでに、どこへ、死亡届を提出するの?
死亡届は、人の死を届け出る大切な手続き。提出には期限があり、提出する人も誰でもいいわけではありません。
死亡届は死亡後7日以内に提出する
死亡届は、“死亡の事実を知った日から7日以内”に提出をする義務があります。ただし、日本以外の国で亡くなった場合は届け出るまでに時間がかかるので、“死亡の事実を知った日から3ヶ月以内”であれば受理してもらえます。ちなみに、期限をカウントする起点は“死亡の事実を知った日”で、死亡した日ではありません。
また、正当な理由がなく届け出が遅れると、戸籍法にもとづいて5万円以下の過料の支払いが発生します。必ず期限内に提出してください。
届出人は親族や同居者
死亡届を提出するときは、届け出ができる「届出人(届出義務者)」をたてます。届出人は誰でもなれるわけではなく、原則として故人の親族や親族以外の同居者が該当します。どんなに親しくても、同居していない友人や知人、恋人は届出人になれません。
●死亡届の届出人となれる方
・親族
・親族以外の同居者
・家主、地主、家屋管理人、土地管理人
・後見人、保佐人、補助人、任意後見人
こちらに該当する人がいない場合、公設所の長として病院長などが届出人になることもあります。
提出は届出人でなくてもいい
死亡届には届出人を記載し、署名・押印しますが、実際に市役所などの窓口へ提出するのは代理人でもかまいません。その際にも他の人に提出を任せる「委任状」の必要もありません。そのため、近年は葬儀社の担当者が代理人となって市役所などの窓口に提出することが多いようです。
死亡届の提出先は?
死亡届は、故人が亡くなった場所や故人の本籍地、届出人の所在地の市役所や区役所などの窓口(戸籍係)に提出します。故人の所在地の役所では届け出ができないのでご注意ください。
●死亡届を提出できる場所
・故人が亡くなった場所(死亡地)の役所
・故人の本籍地の役所
・届出人の住民票所在地の役所
死亡届は365日いつでも提出できます。休日や夜間でも役所の時間外窓口で受け取ってもらえます。ただし、提出できても、受付はしてもらえない自治体もあるようなので確認しておくといいでしょう。
死亡届の提出時に必要なもの
役所に死亡を届け出するときは、死亡届以外にも準備しておくものがあります。
●死亡を届け出るときに必要なもの
・死亡届
・死亡診断書もしくは死体検案書
・届出人の身分証明書(届出人が後見人や保佐人などのケースでは必要)
・届出人の印鑑(修正がある場合は訂正印が必要。認印でOK)
自治体によって必要なものが変わることもあるので、事前に葬儀社の担当者などに確認しておくと安心です。
死亡届と死亡診断書は必ずコピーを!
死亡診断書(死体検案書)や死亡届は原本を提出すると手元に残りません。死亡届は生命保険の請求時に資料として添付を求められるので、役所に提出する前に必ずコピーをとっておきます。国民健康保険葬祭費支給の申請などお葬式後の手続きでも必要になってくるので、コピーは複数枚しておくといいでしょう。
死亡届の内容と書き方、注意点をお教えします。
死亡届は「届出人」が記入します。医師や葬儀社の担当者などが代理で書くことはできませんので、届出人が間違いのないよう記入しましょう。内容は故人と届出人の情報。詳しい項目と書き方をご説明します。
(1)提出日と提出役所
死亡届を提出する日付と提出する役所名を書きます。提出の期限は死亡を知った日から7日以内なので、すみやかに提出してください。
(2)故人の氏名・性別・生年月日
戸籍に登録されている故人の氏名や生年月日を記入。戸籍と異なる通称を使っていた人は、通称を書かないようにしましょう。また、生後30日以内に死亡した場合は、出生時刻も記します。
(3)故人が死亡した時間と場所
故人が亡くなった時間や場所の住所を詳しく書きます。死亡届の横に死亡診断書があるので、そこに記載されている内容を正確に書き写せばいいでしょう。
(4)故人の住所と世帯主の氏名
故人が住所登録している住所と世帯主の氏名を書きます。亡くなった人が世帯主であれば、世帯主名には故人の名前を記します。
(5)故人の本籍
故人の本籍を正確に記入。本籍地は免許証などで確認することができます。提出までに本籍地がわからなかったときは、提出時に役所で調べてもらえます。また、亡くなったのが外国人であれば、国籍のみを書き込みます。
(6)故人の配偶者の有無
故人の配偶者の有無をチェック。いる場合は配偶者の年齢を、いない場合は未婚・死別・離別を選択します。ここでの配偶者は法律のうえで婚姻関係がある方をさし、内縁関係は当てはまりません。
(7)世帯の主な仕事と故人の職業
故人が属する世帯の主な仕事を、記載されている項目から該当するものにチェックを入れます。さらに、故人の職業なども記入します。こちらは国勢調査のためのもので任意記入の項目。わからない場合は空欄でもかまいません。
(8)届出人と故人の関係、届出人の情報
死亡届を書いている届出人と故人の関係をチェック。また、住所や本籍地、生年月日など届出人の情報も記入します。さらに、届出人の署名と押印をしましょう。ただし、届出人の自筆署名があれば押印がなくても受理されます。
(9)届出人の連絡先
自宅や勤務先、携帯電話などの番号を記入。日中に連絡がつきやすい番号を書いておくといいでしょう。
死亡届を書くときの注意点
記入時に間違ってしまった場合は、その箇所に二重線を引いて届出人の認印で訂正印を押します。修正液やテープは使用できないので注意してください。
また、役所に死亡届を提出するときに「火葬場」や「埋葬する墓地」、「故人からみた届出人の続柄(つづきがら)」を質問されます。それらを死亡届の欄外などにあらかじめ書いておくと、あわてずに答えられて安心です。