シンプルに故人を見送る、 「直葬」「火葬式」というスタイル。
お葬式コラム
お葬式の日程の決め方。友引や仏滅でもいいの?
お葬式は亡くなった次の日に通夜式を、その翌日に葬儀・告別式を行うのが一般的です。お葬式はこの日程で決まっていると思われがちですが、実施日は自由。ご家族の希望日にしていいのです。とはいっても、気をつけるべきポイントやマナーはあります。お葬式を営むうえでスケジュールの決定はとても大事な要素。誰が、どのように決めればいいのか? ダメな日はあるのか?など、疑問点にお答えします。
お葬式の日程に決まりごとはありません。
人が亡くなると、お葬式の準備をはじめなければいけません。すぐにやるのが葬儀社への連絡。決まっている葬儀社があるならそこに、なければ急いで選び、ご遺体の搬送をお願いします。
ご遺体を安置すると、葬儀社とお葬式の打ち合わせをしっかりします。そこでまず決めるのが、日程。お葬式に関わる人や施設のすべてに影響を与える日程は、よいお葬式を執り行ううえでとても大切な要素です。
では、お葬式の日程に決まりごとはあるのでしょうか? 結論からいうと、明確な制約はありません。もちろん、考慮する事柄はいくつかあるので思いどおりにならないケースはありますが、基本的に自由。ご家族と葬儀社が話し合って、決めていけばいいのです。
お葬式のスタイルによっても、日程は変わります。
以前のお葬式の流れでは、故人が亡くなった時刻にもよりますが逝去当日に親族だけで仮通夜をし、次の日の夜に一般の参列者を迎えた本通夜、さらにその翌日に葬儀・告別式を執り行っていました。
しかし、近年はお葬式のスタイルが多様化。仮通夜を省略する方が増え、仮通夜と本通夜どちらもしない「一日葬」で送る場合もあります。さらには葬儀・告別式もなく、「火葬式(直葬)」のみ行うスタイルも登場しています。
それぞれのスタイルによってお葬式にかかる日程が異なるので、スタイルと日程はセットで考えましょう。
家族葬や一般葬の日程
通常の家族葬や一般葬では、通夜式と葬儀・告別式を別日で営みます。流れとしては、逝去当日にご遺体を搬送して安置、次の日は納棺を行って通夜式へ、その翌日は葬儀・告別式を営んだのちにご遺体を火葬します。また、拾骨後に繰り上げ法要として初七日法要をしたり、精進落しの席を設けたりするケースも多いようです。
このように家族葬や一般葬では、少なくとも逝去日+2日(=3日間)が必要であることを認識しておきましょう。
火葬式や一日葬の日程
お葬式をせずに火葬だけをする火葬式(直葬)の場合、すぐにでも火葬したいと望まれるかもしれませんが、それはできません。蘇生する可能性がまったくないことを確認すため、日本の法律では死後24時間以上を経過しないと火葬できないのです。そのため、逝去後はご遺体を搬送して安置。その後、火葬します。
通夜式を省略する一日葬も同様で、逝去から安置を経て葬儀・告別式を行い、火葬します。そのため、火葬式と一日葬は、最短でもご逝去日+1日(=2日間)を要します。
お葬式の日程を決めるうえで、考慮したいポイント。
お葬式の日程に決まりごとはないのですが、残念ながらすべて思いどおりに決められるわけではありません。日取りを決定するうえで考慮しなくてはいけないポイントをご紹介しましょう。
火葬場の空き状況を基準にする
日本では、ご遺体のほぼすべては火葬されます。火葬場は各地域に備わっているのですが不足状態がつづいており、とくに都心部では予約が取りづらいといわれています。希望する日時が予約で埋まっていたり、火葬場が営業していなかったりする場合もあるので、まずは火葬場の空き状況を確認。火葬ができる日を基準にして、お葬式の日程を組むといいでしょう。
僧侶のスケジュールにあわせる
通夜式や葬儀・告別式では、僧侶に読経いただきます。逝去後はできるだけ早く菩提寺に連絡し、僧侶のスケジュールを確認しましょう。お葬式は予定できることではなく、急に執り行うもの。僧侶にも都合があるので、考慮しつつお葬式の日程を調整してください。どうしてもスケジュールがあわない場合は、ほかの僧侶を紹介してもらうなどで対応します。菩提寺がない、もしくはわからないときは葬儀社に僧侶の手配をお願いしてもいいでしょう。
参列者の都合を考慮する
お葬式は大切な人を見送る儀式。親族など故人と親しかった方には、できるだけ参列いただきましょう。参列するすべての人に都合のよい日取りを組むのはむずかしいかもしれませんが、可能な限りは調整したいもの。例えば、遠方から来てくれる人を考慮して日程を1日〜2日ほど遅らせてもいいでしょう。参列を望むみなさまで無理なく故人を送りだせるよう、余裕をもったスケジュールでの進行をおすすめします。
地域の風習も確認する
お葬式は土地ごとの特色がある儀式なので、昔から伝えられてきた風習やしきたりが根づいている地域もあります。例えば、北海道や東北など寒い地域ではご遺体を先に火葬し、骨葬で故人を送る風習が残っています。また、お葬式の日程でも、避けたほうがいいと考えられている日が独自に設けられているところもあるようです。
近隣の人がお葬式に参列することも多いですし、場合よってはお手伝いをお願いしたりもします。よりよい関係を築いていくためにも、地元の風習を確認しておくと安心です。
ご遺体の状態が気になるときは処置が必要
逝去から数日後にお葬式を行ってもかまわないのですが、時間があくとご遺体の状態が気になります。ご遺体の安置期間が長くなるのであれば、腐敗の進行を遅らせる処置を施しましょう。
例えば、ご遺体を消毒・殺菌し、防腐処置をする「エンバーミング」を行えば、常温でご遺体の長期保存が可能。費用はかかりますが見た目を美しく維持でき、生前のような姿で見送れるのも大きなメリットです。エンバーミングは葬儀社から依頼できるので、担当に相談するといいでしょう。
友引や仏滅の日にお葬式は避けたほうがいい?
昔から、「友引にお葬式をしてはいけない」といわれることがあります。「友引」は毎日の吉凶や勝ち負けを占う「六曜」のなかのひとつで、“引き分け=物事に勝負がつかない日”という意味をもっています。
意味だけでとらえると問題はなさそうなのですが、「友」「引」という文字から“友だちを引く(=あの世に友だちをいっしょに連れて行ってしまう)”と受けとられ、お葬式の日にふさわしくないとされていました。
同じく六曜の「仏滅」も“物事が滅びる日”という大凶日のため、大切な故人をあの世に送りだすには縁起が悪く、お葬式に不向きだとする意見もあります。その一方で、仏滅は別れに最良の日としてお葬式などの弔事に適していると考える人もいるようです。
日本人は大切なことを行うときなどに六曜による吉凶を気にする傾向にありますが、六曜は中国から伝わった占いのようなもの。大きくこだわる必要はないため、友引や仏滅の日にお葬式をしても問題ありません。また、日本ではほとんどのお葬式を仏式で行うため、仏教との関連性を気にされるかもしれませんが、六曜と仏教はまったくの無関係。宗教的にも配慮する必要はないのです。
とはいっても、親族のなかには友引や仏滅にお葬式を行うことを快く思わない方がいるかもしれません。また、友引のお葬式をタブーとしている地域もあります。トラブルを避けるために、地域のお葬式に詳しい葬儀社や年配の親族から意見を聞いておくのをおすすめします。
友引の日は火葬場が休業している場合も
友引にお葬式を行うのは基本的に問題ありません。しかし、友引はお葬式にふさわしくない日というイメージが定着していることから、その日を休業している火葬場もあります。また、友引が休みの火葬場では友引の翌日はとても混雑し、予約が取りにくいこともあるようです。
火葬場は24時間いつでも使用できるわけではなく、開場時間や休日が決まっています。多くの火葬場は土・日・祝日も営業していますが、正月はお休みしているところがほとんど。火葬したい地域の火葬場がどのようなスケジュールになっているのか、確認しておくといいでしょう。
僧侶のスケジュールにあわせる
通夜式や葬儀・告別式では、僧侶に読経いただきます。逝去後はできるだけ早く菩提寺に連絡し、僧侶のスケジュールを確認しましょう。お葬式は予定できることではなく、急に執り行うもの。僧侶にも都合があるので、考慮しつつお葬式の日程を調整してください。どうしてもスケジュールがあわない場合は、ほかの僧侶を紹介してもらうなどで対応します。菩提寺がない、もしくはわからないときは葬儀社に僧侶の手配をお願いしてもいいでしょう。
ところで、お葬式の日程は誰が決めるの?
お葬式の日取りは火葬場の状況や僧侶のスケジュール、参列者の都合などを配慮しながら葬儀社とご家族で話し合って決めていきます。すべての都合がうまくかみ合って希望どおりの日程が組めればいいのですが、どうしても調整できないケースもあるでしょう。そういったときは、誰が最終的な判断を下せばいいのでしょうか?
基本的に、喪主が決定してかまいません。喪主にはお葬式においてのさまざまな事柄を決定する役割があるので、親族や葬儀社の担当者の意見に耳を傾けつつ最終的な決断を喪主がすればいいでしょう。また、親族などの関係者は喪主に判断をまかせ、その日程を尊重してください。