お葬式コラム

お葬式に僧侶。お坊さんは必ず招かないとダメ?

お葬式は、死者を弔う宗教儀式。そのなかで、僧侶(お坊さん)による読経が行われます。昔からお葬式などの弔事において僧侶は欠かせない存在ですが、そもそも何のためにお招きするのかご存知ですか? 今回のコラムでは、お葬式に関しての僧侶の役割から、連絡のタイミングなど依頼方法までご紹介。さらには、僧侶を招かないお葬式スタイルについてもお伝えします。

なぜ、お経を読むの?お葬式においての僧侶の役割。

日本で執り行われるお葬式のほとんどは仏式です。仏教にはお釈迦さまが説いた教えをまとめた「お経(経典)」があり、この世に生きている人が心安らかに生きていくための考え方などが示されています。ちなみに、お経の〈経〉という文字には“道すじ・過程”という意味があり、迷いのない悟りへと正しく導くものであることが表されています。
お葬式で僧侶からお経を音読されると、耳にした故人やご家族などの参列者は改めてお釈迦さまの教えを学ぶことができます。それにより、故人は現世の苦しみから逃れて成仏でき、大切な人を亡くした悲しみをもつ参列者は心が癒やされるといわれています。
出家して仏門に入った僧侶は、お釈迦さまの教えを伝えてくれる代弁者。お葬式という死者を弔う儀式で読経いただくことで、故人をはじめとしたその場にいる全員がよりよい道へ進めるよう導いてくれる重要な存在なのです。

また、仏教以外の宗教では読経をしません。しかし、神式では祭主(神主)による祝詞(のりと)の奏上があり、キリスト教式では神父(牧師)が聖書の朗読などをする「ことばの典礼」が行われます。

お葬式でお経をあげてもらうタイミングは、いくつかあります。

宗派によって異なりますが、お葬式に関連する儀式のなかで僧侶による読経は数回行われます。

枕経

ご遺体の枕元で読経いただくことを「枕経(まくらきょう・まくらぎょう)」といい、人が亡くなったあとに僧侶から最初に受けるお経です。枕経を行う場所や時間に決まりはありませんが、多くは通夜式までの間、ご遺体を安置している場所に僧侶を迎えて行います。また、お葬式の簡略化が進む現代では、枕経を省略するケースも増えているようです。

通夜式

故人と最後の夜を過ごす通夜式でも読経を行います。通夜式は、会場に参列者がそろうと僧侶が入場し、読経とともに開式となります。お経をあげる時間は30分〜40分程度で、その間に参列者による焼香が行われます。また、読経後に僧侶から法話をいただく場合もあります。

葬儀・告別式

お葬式には「葬儀式」「告別式」という2つの儀式があります。先に行う葬儀式は、故人の魂をこの世からあの世へと送りだす宗教的な意味合いが強い儀式。僧侶の読経にはじまり、親族の焼香をもって終了します。次に一般の方が故人とお別れする告別式となり、弔電を披露したあとに一般参列者が焼香。その間も僧侶は読経をつづけています。お経をあげる時間は40分〜1時間が目安。全員が焼香し終え、僧侶が退場すると告別式も閉式します。

火葬場

ご遺体と向き合う最後の場である火葬場でも僧侶の読経を行います。ご遺体を火葬する前にお経を音読し、心安らかに故人をあの世へ旅立たせるのです。火葬炉の前でお経をあげるため「炉前読経」とも呼ばれ、読経やお別れができる「炉前室」が設置されている火葬場もあります。読経の時間は短く5分から10分程度がほとんど。地域の習慣や火葬場の事情によって火葬時に読経しないケースもあります。

初七日法要

近年は葬儀・告別式と同日に初七日も執り行う、繰り上げ法要を選択するご家族が増えています。多くは火葬後に営み、後飾りの祭壇にご遺骨や位牌、遺影を安置し、僧侶による読経と参列者の焼香を行って供養します。また、葬儀・告別式につづいて初七日法要を行うケースもあるようです。
法要を終えると「精進落し」を行い、僧侶などお葬式でお世話になった方々をもてなすのが一般的です。

どのタイミングでお願いすればいい?僧侶のご依頼方法。

お葬式で読経をお願いする僧侶を手配するには、いくつかの方法があります。

菩提寺がある場合

先祖代々のお墓があるなど、日頃からおつきあいしているお寺のことを「菩提寺」といいます。菩提寺がある場合は、喪主が電話などを使って直接、連絡しましょう。依頼では、故人の名前や生年月日、亡くなった日時、享年、喪主の連絡先などを伝えます。そのとき、僧侶の予定を聞いて、通夜式や葬儀・告別式の日程を相談するといいでしょう。
遠方でお葬式を営むなど菩提寺の僧侶への依頼がむずかしい場合も、一報を入れるのがマナー。理由を説明し、距離が問題なのであれば近隣の寺院を紹介いただけるか相談してみます。断りなくほかの僧侶を手配してしまうのは、トラブルにつながる恐れもありタブー。お葬式後も菩提寺とのおつきあいはつづきます。気持ちのいい関係でいるためにマナーは守りましょう。

菩提寺がない場合:葬儀社に依頼する

近年は、菩提寺をもたないご家庭が増えています。菩提寺がないなどで縁のある僧侶に依頼できない場合は、お葬式を運営する葬儀社に頼むとスムーズ。多くの葬儀社は寺院とネットワークがあるので相談すれば、宗教・宗派にそった僧侶を手配してくれます。まずは、葬儀社の担当者への相談をおすすめします。

菩提寺がない場合:インターネットで探す

ネットワーク環境が発達している現代では、インターネットでなんでも探せます。僧侶の手配も例外ではなく、ネットで検索すればさまざまサイトが見つかります。全国の寺院と提携しているサービスもあり、檀家にならずとも宗教・宗派にあわせた僧侶を依頼できるようです。料金体制が明確で、比較的に安価なのもメリットでしょう。
とはいえ、お葬式において僧侶は大きな役割を担います。信頼のおける僧侶にお願いできるよう、運営会社の実績や評判などをしっかり確認するのが大切。中にはいわゆる“マンション坊主”と言われる実際に寺院を持たない僧侶を派遣するようなサイトも見受けられますので安い費用に飛びつくのは後々トラブルになる可能性も、最初からひとつに絞らず、いくつかのサービスを比較してからお選びください。

僧侶への依頼はどのタイミングでするの?

菩提寺がある場合は、死亡が確認されたらなるべく早く連絡します。お葬式に迎える僧侶のスケジュールを考慮しつつ、通夜式や葬儀・告別式の日程、枕経の有無、戒名などについても相談します。菩提寺とのおつきあいに慣れていない方は、葬儀社の担当者が同席している場で連絡してもいいでしょう。
菩提寺がない場合は、葬儀社との打ち合わせ時に依頼。宗教・宗派やお葬式の日程にあわせて、葬儀社が僧侶を手配してくれます。

菩提寺や宗教・宗派がわからない場合はどうする?

宗教的なつながりが希薄になっている現代では、ご家庭の菩提寺や宗教・宗派を認識していない方は少なくありません。とくに故人が急逝した場合、残されたご家族が菩提寺の有無がわからなくて困惑したというケースも見受けられます。
菩提寺がわからない場合は、まず親族に確認してみましょう。菩提寺には親族でお世話になっていることが多いので、年配の親族などに聞くのが確実です。
また、宗教・宗派さえもわからない場合もあるでしょう。そのときは、ご先祖さまの戒名から判断してみるのもひとつの方法。ご仏壇の位牌などを見て、どのような漢字を使っているのかを調べれば宗派がわかるようです。
ともあれ、死亡後の慌ただしいときに菩提寺や宗教・宗派を探し出すのは大変。普段から、ご家族で菩提寺や宗教・宗派について話しておくことをおすすめします。

僧侶のいないお葬式はできるの?

結論からいうと、僧侶のいないお葬式は可能です。お葬式は宗教儀式なので、僧侶を招いて読経いただくのは基本。しかし、お葬式のあり方は時代とともに変化し、近年は形式にとらわれないスタイルが登場しています。お葬式への固定観念も薄れているので故人の意思やご家族の想いを優先し、読経のないお葬式を選択してもかまわないのです。
例えば、このようなお葬式スタイルがあります。

無宗教葬・自由葬

宗教儀式を行わないお葬式を、「無宗教葬」「自由葬」と呼びます。自由な内容でお葬式を執り行うのが特徴で、故人が好きだった音楽をメインにする「音楽葬」や華やかなパーティーのような「ホテル葬」など多様なスタイルがあります。故人の人となりを表したカタチで見送りたいというご家族に選ばれているようです。
無宗教葬とはいえ読経だけはお願いしたいと僧侶を招く場合もあるようですが、多くは読経や焼香、献花などの宗教儀式は省略されています。

直葬

近年増えている「直葬(ちょくそう・じきそう)」「火葬式」は、通夜式や葬儀・告別式を行わずに火葬のみで故人を見送るお葬式です。簡略化したスタイルで、ご遺体を24時間安置したのちに火葬し、骨上げするのが基本的な流れ。希望して火葬前に読経するケースもありますが、通常は宗教儀式を行いません。
故人ができるだけシンプルなお葬式を望んでいたり、故人にゆかりのある人が少なかったりする場合、なるべく葬儀費用を抑えたいと願う方が直葬を選ぶ傾向にあるようです。

僧侶のいないお葬式の注意点。

僧侶のいないお葬式は、形式にとらわれない自由なカタチ。とはいえ、なんでも思い通りにすればいいというものではありません。周囲に気遣い、マナーを守ったうえで行いましょう。

親族など周囲の理解を得る

お葬式は宗教儀式であるとともに、昔から行われてきた伝統儀式でもあります。故人やご家族がいいと考えても、親族は受け継がれてきたお葬式の形式を大切に思っているかもしれません。また、僧侶による読経がないと故人の魂があの世へ導かれないと信じている方もいるでしょう。
親族の考えを無視して自由なスタイルをとると、お葬式当日や後の日にトラブルにつながる恐れがあります。僧侶を呼ばない場合は親族などの関係者へ事前に説明し、理解を得ておくことが大切。お葬式の内容をご家族で話し合ったときに、選択の理由をどう説明するのかを決めておくとスムーズです。

菩提寺に連絡しておく

これまでお世話になっている菩提寺は、故人のお葬式を無宗教葬で営んだからといって縁が切れるわけではありません。お葬式後もおつきあいはつづいていくため、親族同様に菩提寺からも理解を得ておく必要があります。
死亡が確認されたら、できるだけ早く菩提寺へ連絡。故人の意思やご家族の考えなどから僧侶を招かないお葬式スタイルを選択したことを丁寧に説明し、ご理解いただくようにしましょう。

お墓や戒名の確認をする

菩提寺がある場合、僧侶のいないお葬式の選択には注意が必要。寺院によっては、そこの僧侶が読経し、戒名を授からないと先祖代々のお墓に納骨できない恐れがあるためです。
寺院には、それぞれしきたりがあります。菩提寺への連絡では、僧侶のいないお葬式を行っても〈お墓への納骨は可能か〉〈戒名を授けてもらえるのか〉などを確認しておきましょう。むずかしい場合は、僧侶のいないお葬式をあきらめる、もしくは民間の墓地など菩提寺以外の納骨先を探す必要があります。

対応できる葬儀社を探す

無宗教葬というスタイルは、一般的なお葬式の内容と異なります。そのため、葬儀社のサポートも通常の式より幅広くなり、対応力が問われます。いくら“このようなお葬式をしたい”と思い描いても、実現できなければ意味がありません。
無宗教葬を執り行いたい場合は、実績があり、慣れている葬儀社を選びましょう。また、丁寧に相談にのり、明確な見積もりを提示してくれることも大切です。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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