最近、注目されているお葬式の生前予約とは？
お葬式コラム
自由葬・無宗教葬とは。種類やメリットも教えて！
日本で執り行われるお葬式の約9割が仏式だといわれています。しかし、普段の生活では宗教を意識していないことから、自身を〈無宗教〉だと感じている日本人も多いようです。
そんな現代で注目されているお葬式スタイルが「自由葬」。宗教の形式にとらわれず自由な内容で行われる葬儀で、“自分らしさ”を求める方に選ばれています。今回は自由葬・無宗教葬を特集。メリットやデメリット、種類などを詳しくご紹介します。
自由葬・無宗教葬とは。どちらも同じものなの？
「自由葬」とは、文字通り〈自由な形式で執り行われる〉お葬式スタイルのこと。宗教的な儀式や昔からのしきたりにしばられず、自由な内容・流れで執り行います。「無宗教式」は特定の宗教・宗派の慣習にとらわれず、宗教儀式も行わないお葬式。どちらも自由なスタイルをとるお葬式のため、同じものだと考える傾向もありますが、厳密にいうと少し違います。
自由葬は、自分たちの意志で自由に行うお葬式です。そのため、宗教要素を取り入れることも可能。宗教式を基本として好みの演出を加えたり、不必要だと考える儀式だけを省いたりもできるのです。
一方の無宗教葬は、すべての宗教要素を排除するもの。儀式だけでなく、僧侶による読経や焼香など宗教的な行為もしません。大きな定義として、自由葬のなかに無宗教葬というスタイルがあると考えていいでしょう。とはいえ、大半の自由葬は無宗教で執り行われるため、〈自由葬＝無宗教葬〉と捉えるのが一般的になっています。
信仰がないから、無宗教葬を選ぶわけではない？
自由葬や無宗教葬は特定の宗教に興味をもたない〈無宗教の人〉のためのお葬式だと考えられがちですが、そうではありません。どちらも故人の意志や残されたご家族の想いを尊重するスタイルで、より“自分たちらしい”お葬式を実現するために選ばれています。信仰心が〈ある・なし〉は関係ないのです。
また、無宗教葬は、参列者への感謝の気持ちを重視する考えから生まれたともいわれています。参列者への接待を充実させるため、宗教的な儀式の時間や予算を省いたことが背景にあるようです。
自由葬・無宗教葬のメリット。
自由葬・無宗教葬には、いくつものメリットがあります。
自由にお葬式の内容や演出を決められる
自由葬で行う最大のメリットは、なんといってもお葬式の内容を自分たちで決められること。宗教の慣習に従って営むお葬式では内容や流れがある程度は決まっているため、新しい要素を加えるのは困難です。しかし、自由葬は基本的に制約がありません。自分たちがやりたいことを組み合わせた、手づくりのオリジナルお葬式が行えるのです。
故人らしいお葬式ができる
生前からお葬式に希望をもっていた故人もいるでしょう。〈明るくカジュアルなお葬式にしたい〉〈好きな花に囲まれて旅立ちたい〉など、一般的なお葬式の枠から外れる要望であっても自由葬ならかなえられます。また、〈故人らしいお葬式で送ってあげたい〉というご家族の想いをカタチにすることも可能です。
宗教にとらわれないお葬式ができる
日本には特定の宗教を信仰していない方や、もともと宗教に興味がない方もたくさんいます。お葬式だからといって日常生活でなじみのないものに従うことに違和感がある方は、無宗教のお葬式を好むようです。
また、故人と喪主の宗教・宗派が異なるときなど、どの宗教の形式に従うべきか迷ってしまうケースもあるでしょう。そういう場合でも、宗教儀礼を排除した無宗教葬ならスムーズにお葬式を執り行えます。
宗教儀式も行える
自由なスタイルで故人を送りたいと考えても、通夜式や葬儀・告別式といった基本的な宗教儀式は取り入れたいと願う人もいらっしゃいます。
無宗教葬にするなら宗教的なものを省きますが、自由葬というカタチなら宗教儀式を取り入れる・取り入れないは自由に選んでOK。例えば、葬儀・告別式の形式をとらない自由葬のなかで、僧侶の読経や参列者の焼香を行っても問題はないのです。
予算に合ったお葬式ができる
自由葬は好みのお葬式をイチから組み立てられるお葬式なので、簡素にも、豪華にも仕立てられます。例えば、一般的なお葬式のように通夜式と葬儀・告別式を2日間かけて行わず、一日のみでシンプルなお葬式をすれば費用はかなり抑えられます。僧侶の読経をお願いしなかった場合は、お布施の必要もありません。
反対に、ホテルのパーティー会場などを利用したゴージャスなお葬式をすることも可能。自由に構成できるので、予算と好みに合わせたお葬式を営むことができます。
自由葬・無宗教葬のデメリットと注意点。
もちろん、自由葬・無宗教葬にもデメリットがあります。メリット・デメリットを把握したうえで、自分たちに適しているか判断しましょう。
親族の理解が得られない場合がある
自由葬は新しいスタイルのお葬式のため、伝統を重んじたお葬式を望む親族や地域の人から理解を得られない可能性があります。また、なじみのない無宗教のお葬式に来て、作法にとまどう一般参列者もいるでしょう。
お葬式は、参列するすべての人が故人とお別れをするもの。あらかじめ親族に相談して同意を得ておくのはもちろん、参列者にも事前に趣旨を説明しておくと混乱を防げます。
菩提寺とトラブルになる可能性も
菩提寺との関わりは、お葬式だけではありません。先祖代々のお墓があったり、ご先祖の法要で読経をお願いしたり、暮らしのなかのところどころでお世話になります。
そんな菩提寺をないがしろにしてお葬式を営むと関係が悪化するだけでなく、〈故人の戒名を授けてもらえない〉〈ご遺骨がお墓に納骨できない〉などトラブルにつながる恐れもあります。
自由葬・無宗教葬を選択するときは、必ず事前に菩提寺へ相談しましょう。故人の意志を尊重するなど理由を丁寧に説明し、理解を得ておくことが重要です。
自分たちでお葬式をつくるチカラが必要
自分好みのお葬式をつくれることは自由葬の魅力ですが、裏を返せばすべて自分たちで決めなくてはなりません。故人の逝去からお葬式まではあまり時間がなく、また多くの人はお葬式そのものにも慣れていません。そのような状態で、イチからお葬式を組み立てるのは大きな負担。相当にむずかしいミッションとなります。
自由葬を選択したい場合は、当人とご家族が生前から話し合い、葬儀社へ相談するなど事前に準備しておくことをおすすめします。
運営に慣れていない葬儀社もある
日本には数多の葬儀社がありますが、そのほとんどが仏式や神式など宗教式を担当しているため、自由葬・無宗教葬の運営に慣れていない葬儀社も存在します。
時間をかけて自分たちらしいお葬式を計画しても、当日の運営が滞っては意味がありません。思いどおりのお葬式を実現したいなら、葬儀社選びはとても大切です。自由葬・無宗教葬を取り扱っている葬儀社を探して事前に相談し、これまでの実績なども確認したうえで信頼できる葬儀社へ依頼しましょう。
法律は厳守する！
日本には「墓地・埋葬に関する法律」があり、人が死亡したら行わなければならない事柄がいくつかあります。例えば、「死亡届」。人が亡くなったことを役所へ届け出るための書類で、届け出義務者が死亡を知った日から7日以内に提出する義務があります。さらに、火葬に関しては死後24時間を経過しないと行えません。
自由葬で故人を自由に弔う場合でも、法は厳守してください。ちなみに、「墓地・埋葬に関する法律」ではお葬式を実施する義務は定めていません。お葬式を省いて火葬のみで故人を見送っても法律上は問題ないのです。
自由葬の種類。例えば、こんな式があります！
自由葬には決まりごとがないため、さまざまな種類のお葬式があります。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
無宗教葬
特定の宗教・宗派にしばられず、自由な形式で行うお葬式。宗教色がいっさいなく、一般的な仏式のように通夜式や葬儀・告別式といった儀式は営みません。さらに、僧侶による読経や参列者からの焼香もなし。それらの代わりに、黙とうや献花をすることが多いようです。
宗教色のない自由葬なので、式の内容や演出はお好みで決めて問題ありません。
お別れの会
自由葬のなかでも近年に増えているカタチです。さまざまな方法がありますが、多いのは会食をメインとしたもの。ホテルやレストランを会場にし、食事をとりながら思い出を語り合って故人を偲びます。参列者からの香典を辞退して会費制にする傾向があり、会費は1万円〜2万円が一般的です。
お別れの会は、近親者のみで密葬や家族葬を執り行ったあとに一般の方を招く形式で行われることも多く、「偲ぶ会」とも呼ばれます。
音楽葬
音楽演出を中心としたお葬式で、故人が好んでいた楽曲が流れるなかでお別れをします。音楽を流す方法としてはCDなど音源を用意するほか、音楽家を招いて生演奏をしてもらうケースもあります。
音楽葬を営むためには、音響設備の整った会場が不可欠。葬儀社に相談し、会場を探してもらいましょう。また、一般的な仏教のお葬式を執り行いつつ、音楽演出を加える方法もあります。いずれにせよ菩提寺に相談し、理解を得ておくことが重要です。
ホテル葬
ホテルを会場としたお葬式は「ホテル葬」と呼ばれます。宴会場などを使用し、大人数が参加する豪華なものが多いようです。お別れの会と同様に、近親者で密葬や家族葬を営んだのちにパーティー形式で行われるケースもあります。
ホテル葬には、華やかな雰囲気で故人を偲べる魅力があります。一方で、〈ご遺体を持ち込めない〉〈焼香ができない〉などの制約があることも覚えておきましょう。
生前葬
生きているうちに本人の意志でお葬式をする「生前葬」も、大きな意味では自由葬だと捉えられています。生前葬にルールやしきたりは存在しないため、本人の希望を実現することが重要視されます。実施の目的としては、〈これまでお世話になった人や親しい人と直接会って感謝を伝えたい〉というのがほとんど。そのため、会食や歓談に重きをおく構成が主流です。
生前葬はパーティーのような明るいスタイルで行い、通常は宗教儀礼を省きます。しかし、まれに本人が希望する場合もあるので、そのときは葬儀社や菩提寺に相談してみるといいでしょう。
自由葬・無宗教葬の流れ。
宗教・宗派の慣習にならわず、自分たちの思いのままに構成できる自由葬・無宗教葬に決まった流れはありません。いくつもある方法のなかから一例をご紹介しますので、ご自身で計画するときの参考にしてください。
参列者の入場
参列者は入り口で受付を済ませ、会場に入場します。すべての参列者は開式までに席についておきます。
開式のあいさつ
司会者など進行を担当する人が開式のあいさつをします。あわせて、自由葬・無宗教葬を選んだ理由や式の趣旨などを説明します。
黙とう
僧侶による読経の代わりに、参列者全員で黙とうします。黙とうの合図は司会者がするといいでしょう。
弔辞・弔電の披露
参列者を代表してお別れの言葉を述べる弔辞や、会場に届いている弔電を披露します。
故人の紹介
故人の略歴や人柄を紹介します。用意したテキストを読み上げるだけでなく、スライドや映像を効果的に使って印象的に紹介することが多いようです。
献花
ご家族や参列者が故人に花を手向けます。献花は故人と縁の深い順に、喪主→ご家族→一般参列者という流れで行うのが一般的です。
喪主のあいさつ
喪主などご家族の代表が参列いただいた方に感謝の気持ちを伝えます。このとき、故人との思い出を簡潔に盛り込んで偲びましょう。
最後のお別れ
ご遺体のまわりに参列者が花を添える「別れ花」などで最後のお別れをします。参列者とのお別れを終えると、お棺のフタを閉めます。
閉式のあいさつ
司会者が閉式のあいさつをします。あいさつでは、無事に式を終えられたことへの感謝の言葉などが述べられます。
出棺
お棺を車に運び入れ、出棺。同行する参列者も火葬場へ向かいます。
火葬
火葬場でご遺体を火葬。火葬炉の前で、参列している人が最後のお別れをするのが一般的です。火葬を終えると、拾骨をします。
会食
仏式の精進おとしのように食事の場を設け、参列者やお手伝いの方をもてなす場合もあります。スタート時に喪主からあいさつし、感謝を伝えるといいでしょう。
