お葬式コラム

海洋散骨の流れや費用。具体的に教えて!

亡くなった人の供養は時代とともに変化しています。ご遺骨の埋葬方法も同様に多様化し、お墓に納骨しないスタイルもぞくぞく登場。近年は自然環境へと還れる自然葬が注目され、なかでもご遺骨を海にまく「海洋散骨」を選ぶ人が増えています。
海洋散骨は新しい供養スタイルのため、いざ行いたいと考えたときにどう進めればいいのかわからない場合もあるでしょう。海洋散骨コラム・後編の今回は、方法や費用など具体的な情報をお届けします。
海洋散骨の基礎知識やメリット・デメリットなどを説明した前編は下記コラムをご覧ください。

海洋散骨の方法。誰でも散骨できるの?

「海洋散骨」は、粉末状に砕いたご遺骨を海にまく供養スタイルです。行うにあたっては、まず〈誰が、どのようにして海にご遺骨をまくのか?〉を選択するといいでしょう。

専門業者に依頼する

海にご遺骨をまく海洋散骨は、法的に問題はありません。ただし、〈節度をもって行う〉という条件つき。海に影響を与えないようご遺骨は〈2mm以下のパウダー状〉にしなくてはならず、近辺の住人や漁業者に迷惑をかけないために〈陸地から離れた海域に散骨する〉のが決まりです。
このように守るべきルールやマナーがあるため、海洋散骨は業者にお願いするのが一般的。専門の業者であれば海洋散骨に詳しいスタッフがいるため、アドバイスを受けながら正しく執り行えます。
また、多くの業者は海洋散骨に必要な内容を一式セットにしたプランを設けています。希望者はプランを選ぶだけで細かな準備をする必要がなく、ご家族の手間が省けるのも大きなメリットです。

ご自身で散骨する

海洋散骨を、〈自分で行いたい〉と考える方がいらっしゃるかもしれません。結論からいうと、ご自身で実行するのは可能。ご遺骨を2mm以下に粉骨し、陸地から離れた散骨可能な海域まで船をだせば、お骨をまいても問題ないのです。
とはいえ、個人で硬いお骨をパウダー状まで粉砕するのはむずかしい作業。結局は粉砕業者に頼むことになりますし、散骨するために遠い海域まで行くには船をチャーターしなくてはいけません。自治体のなかには散骨に関する条例を設けているところがあるので、各自治体に確認して散骨場所を選ぶ必要もあります。
海洋散骨は新しい供養スタイルで、多くの人は深い知識をもっていません。詳しく知らないものを手探りで行ってしまうと、気持ちよく供養できない可能性もあるでしょう。
大切な故人のご遺骨を安心して供養するためにも、海洋散骨は専門業者にまかせる方法をおすすめします。

海洋散骨プランの種類と料金の相場。

海洋散骨を取り扱う業者では、いくつかのプランが用意されています。それぞれ散骨のやり方やかかる費用が異なるので、比較検討してご希望のプランを選ぶといいでしょう。

代行(委託)散骨

故人のご遺骨を業者が預かって、散骨するプラン。ご家族は乗船せずに専門スタッフに散骨をまかせるパターンで、業者が代行して散骨するため「代行散骨」「委託散骨」と呼ばれます。船での移動に不安がある方や遠方に住んでいて港まで行きにくい方でも、海洋散骨できるのが特徴です。ただし、多くの場合、散骨する日程やエリアが限定されていて実行日などは指定できません。そのぶん料金は安く設定されているので、費用を抑えたい人にもおすすめです。
代行なのでご家族は散骨に立ち会えませんが、「海洋散骨証明書」は発行されます。後日、無事に散骨されたことや散骨場所を確認できるので安心です。
料金の相場:5万円〜10万円程度

合同散骨

何組かのご家族が合同で行う海洋散骨です。複数組での乗船ですが、ほとんどの業者は2〜3組程度で行います。限られた人数なのでざわつかず、落ち着いた雰囲気のなかで散骨できるでしょう。
合同散骨のメリットは、なんといってもご家族の手で散骨できること。ほかのご家族が同船するプランなので、料金が比較的リーズナブルなのも魅力でしょう。コストを抑えつつ散骨に立ち会いたいご家族におすすめです。
ただし、船に乗れる人数には限りがあります。大半の業者では、ひと家族あたりの乗船人数に制限を設けてあるようです。
料金の相場:10万円〜20万円程度

チャーター散骨

船を貸し切って散骨するプランで、一隻まるごとチャーターするため「チャーター散骨」や「貸切散骨」と呼ばれます。乗船するのは、ひと組のご家族のみ。周囲に気をとられることなく、ゆっくり心置きなく大切な故人のご遺骨をまくことができます。
ひと組のご家族だけが乗船しているチャーター散骨では、船上や散骨である程度の自由が許されているのも魅力。故人が生前に好きだった音楽を流したり、お別れの会などのセレモニーを開催したりするケースもあるようです。
さらに、ひと家族のみなので乗船できる人数も増えます。デメリットは料金。船を貸し切るため、どうしても高額になります。
料金の相場:20万円〜40万円程度

海洋散骨の流れ。どうやって散骨するの?

海洋散骨の具体的な流れを理解している方はそう多くありません。また、取り扱う業者によって内容や段取りが異なっているので、実際の流れは依頼業者に確認する必要があります。
とはいえ、事前に大枠を知っておくと海洋散骨をイメージしやすくなります。一般的な流れをご紹介しましょう。

準備:書類を用意する

海洋散骨をする場合でも、ご遺骨を扱うことにかわりありません。そのため、ほとんどの業者では、ご遺骨の埋葬を許可する「埋葬許可書」を求められます。埋葬許可書はご遺体の火葬後に火葬場で発行されるので、受け取って保管しておきましょう。火葬後に散骨するのではなく、お墓に納骨していたご遺骨を散骨する場合は「改葬許可証」の提示でも問題ないようです。
これら証書は〈コピーでも可〉とする業者の多いので、依頼する業者に確認して用意しておくと慌てずにすみます。

1:業者を探す

ご自身で散骨するのでなければ、お願いする専門業者を探す必要があります。海洋散骨の成功は業者選びにかかっているといっても過言ではないため、しっかり選びましょう。
近年は海洋散骨の人気が高まっていることから、扱う業者も増えています。インターネットで調べてもたくさんの業者が見つかるので、まずは気になるところを複数ピックアップして比較検討しましょう。詳細な見積もりをだしてもらい、納得できる内容と金額の業者に頼むといいでしょう。

2:業者への申し込み&打ち合わせ

納得できる業者が見つかったら、申し込みましょう。このとき、申込書や同意書とともに「埋葬許可証(コピー)」なども提出します。
申し込みが完了すると、散骨日時などを決めていく打ち合わせに入ります。細かく相談し、散骨時にしたいことなど希望があれば伝えておきます。当日の持ち物や服装などの疑問点も確認しておくと安心です。

3:ご遺骨を業者へ渡す

散骨するためには、ご遺骨を2mm以下のパウダー状にする必要があります。粉骨は個人ではむずかしいため、業者が担当します。散骨当日までに粉骨できるよう、業者へご遺骨を渡しておきましょう。受け渡す方法は業者によって異なり、持ち込んでの手渡しや郵送などから選べるようです。
すべてを散骨せずに一部のご遺骨を手元に残しておきたい場合、ご遺骨の取り分けが可能な業者もあるようです。確認してみるといいでしょう。

4:出港し、散骨場所へ移動する

指定された場所に集合し、用意された船舶に乗船します。合同散骨の場合は複数のご家族が、チャーター散骨であればひと家族のみで乗り込みます。ご家族が散骨に同行しない代行散骨では、請け負ったスタッフがご遺骨とともに乗船します。
全員がそろったところで注意事項などの説明が行われ、安全を確認して出港。散骨する海域まで移動します。

5:献花などセレモニーを行う

業者によって違いはありますが、散骨ポイント到着後にお別れのセレモニーを行うことも多いようです。よくあるのが、「献花」。植物である花は自然環境に影響を与える心配が少なく、海にまいたときの見た目が美しいのも特徴です。献花する花は業者が用意することが多いようですが、故人が生前に好きだった花をご家族で準備してもかまいません。そのときは、どのような花が適しているかを業者に確認しておくといいでしょう。また、故人が愛好していたお酒をまく、「献酒」もよく行われます。
献花などのセレモニーは、できる場合とできない場合があります。担当する業者へ確認し、ご家族に希望があるなら伝えておきましょう。

6:散骨する

お別れのセレモニーが終わると、いよいよ散骨を行います。散骨の方法は業者によってさまざまで、粉骨したご遺骨をそのまま海に流したり、ご遺骨を水溶性の容器に入れてまいたりします。具体的な散骨方法を知りたい方は、依頼する業者に確認するといいでしょう。
散骨後には、海に向かって黙祷。故人が海で安らかに眠れるよう見送ります。

7:帰港する

散骨が終わると、出港した場所へ帰ります。業者や申し込んだプランによっては、散骨した周辺の海をクルーズして戻るなどのサービスがついているようです。
帰港すると海洋散骨は終了。参加者はその場で解散します。

8:散骨証明書を受け取る

ほとんどの業者は、海への散骨を証明する「海洋散骨証明書」を発行しています。帰港後もしくは後日に発行されるので、受け取って間違いがないか確認しましょう。さらに、散骨ポイントを記した海図などの記念品を送ってもらえる業者もあるようです。どのようなフォローがあるのかは、業者によって違いがあります。申し込む前に確認しておくと後悔しません。

疑問や不安を解決! 海洋散骨Q&A

人気が高まっているとはいえ、ほとんどの人は海洋散骨になじみがありません。検討している人の疑問や不安が解決できるよう、よくある質問にお答えします。

業者を選ぶときのポイントは?

近年は海洋散骨を取り扱う業者が増えています。設定されているプラン内容や料金を比較して、自分の希望にあった業者を選ぶといいでしょう。料金比較では、どこまでプランに含まれ、どこから別料金になるのかを確認しておくのも大切です。
ぞくぞくと増えている海洋散骨の業者のなかには、残念ながら悪質な業者も存在しているようです。〈高額な追加料金を請求された〉〈ルールを守った散骨をしてもらえなかった〉などのトラブルも発生しています。
信頼できる業者選びのポイントとしては…
●ルールやマナーなど業界のガイドラインを厳守している
●適切な場所に散骨できる
●丁寧にヒアリングして相談に乗ってくれる
●詳細な内容の見積もりをだしてくれる
などがあげられます。料金の安さだけを売りにしていたり、インターネットのやりとりだけで申し込みを急かしたりする業者は危険。避けたほうが無難です。

海洋散骨の服装は、なにを着ていけばいい?

お墓への納骨式では喪服を着て参列する方が多いため、海洋散骨でも喪服を身につけるべきだと考えるかもしれません。しかし、海洋散骨では平服の着用がマナー。弔事での平服といえば略喪服をさしますが、海洋散骨では〈平服=普段着〉です。 というのも、海や港にはレジャーで訪れている人がたくさんいます。喪服を着た人がいると、周囲の人が暗い気持ちになったり、違和感をもってしまったりする可能性があります。そのため、海洋散骨の服装には平服が適しているのです。
コーディネートの基準としては、〈きちんと感があって動きやすい普段着〉。ゆったりしたワンピースなど、締めつけのない服を選べば快適に過ごせます。船上では足元が不安定になるので、フラットシューズやスニーカーなど歩きやすい靴をチョイス。ヒールの靴は危険なので避けてください。
海洋散骨では、平服であれば基本的になにを着てもかまいません。とはいえ、大切な故人を供養するものです。露出が多かったり、華美で派手だったりするファッションは似つかわしくないので控えたほうがいいでしょう。

遺骨といっしょに故人の思い出の品を海に流してもいい?

ご遺体を火葬するとき、故人があの世で困らないようにと生前に愛用していた品をお棺へ納めます。このように亡くなった人といっしょに埋葬されるものを「副葬品」といい、海洋散骨でもご遺骨とともに海へ流したいと望まれる人がいらっしゃいます。
しかし、散骨は自然環境に負荷を与えないことを基準としている供養方法です。故人のためとはいえ、海に影響を及ぶす可能性があるものを流すのは厳禁。最近は海洋ごみ問題が大きな話題になっています。自然に還らない素材であるビニールやプラスチック、金属などの製品は絶対に流さないでください。
現状として海に流していいとされているのは、花やお酒など海への影響が少ないもの。献花の花も生花だけを使用し、造花はNGです。ビニールやセロテープなどのラッピング類もすべて外し、花びらだけをまく場合もあります。献酒も少量のお酒で行うのがマナーです。海に溶ける紙に書いた手紙ならOKなど、ご遺骨とともに海へ流せるものに関しては業者によって考え方が異なります。相談してみるといいでしょう。
そもそも、物品を流さなくても想いは伝わります。ご家族と思い出話をするなどして船上で故人を偲び、散骨時に感謝の気持ちやお別れの言葉を口にすることで故人の供養は十分できるのではないでしょうか。

一部を散骨した場合、残った遺骨はどうするの?

海洋散骨は、すべてのご遺骨をまいても、一部のみでもかまいません。散骨にはお墓参りができないデメリットもあるので、節目節目の供養を大切にしたい方は一部を散骨してご遺骨を残すことをおすすめします。
残ったご遺骨の供養にはさまざまな方法があり、近ごろは身近なところに置いておく「手元供養」も人気です。ミニ骨壺などご遺骨を自宅で保管しやすいアイテムも多彩に発売されており、身につけられるアクセサリーに加工することも可能。好みのタイプを選んで供養するといいでしょう。
ただし、散骨しないご遺骨を〈お墓や納骨堂に納めたい〉となったときは注意が必要。日本の法律ではご遺骨を「分骨」すること自体は問題ないのですが、わけたご遺骨をお墓に納骨するときには「分骨証明書」が求められます。分骨証明書は、火葬場もしくは墓地の管理者から発行されます。〈一部を散骨して、一部をお墓に納骨する〉のがお葬式時にわかっていれば、葬儀社に相談しておくと火葬場に連絡してもらえます。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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