終活のはじめ方。いつから、どうはじめればいい?
お葬式コラム
万が一に備えて早めの準備!一人暮らし女性の終活の進め方を徹底解説
「終活」というと、自分の死後のことを想像させるため、ネガティブなイメージを持つ人がいるかもしれません。ですが、終活は老後の生活を豊かにするためにも自分自身の心の安心を得るためにも非常に大切な取り組みです。
特に女性で一人暮らしの方は、自分の老後や死後のことが不安に感じている人が多いと思います。そんな方は特に、早いうちから終活について知っておき、必要な準備をしておくことが大切です。そこでこの記事では、一人暮らしの女性が終活に取り組むべき理由やメリット・かかる費用などについて詳しく解説します。
一人暮らしの女性が終活をすべき理由と終活にかかる費用
一人暮らしの女性が終活をすべき理由
一人暮らしの女性が終活をすべき理由はさまざまですが、主に以下のような状況に分けて考えることができます。
子どもがいない場合
子どもがいない女性の場合、自身の死後の対応や財産の整理を頼める親族がいない可能性があります。自分の望む形で遺品整理や葬儀が行われるように、終活を通じて自分自身で準備しておくことが大切です。
子どもがいるものの疎遠・遠方に住んでいる場合
子どもがいる場合でも、疎遠になっている・あるいは遠方に住んでいる場合には、急な対応が難しいことがあります。このような場合、終活を進めることで子どもに負担をかけずに自分自身の希望を実現しやすくなります。
夫婦ふたり暮らしの場合
夫婦二人暮らしの場合でも、パートナーにすべてを任せるのは負担が大きいものです。特に日本では一般的に女性の方が長寿である場合が多いため、終活を進めておくことでお互いに安心して生活することができます。
終活にはどれくらいの金額がかかる?想定される費用
終活にはさまざまな費用がかかります。それぞれの項目について、具体的な費用を見ていきましょう。
遺言書の作成
遺言書の作成には大きく分けて、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。
【自筆証書遺言】
自筆証書遺言とは、遺言者が自分で全文を手書きし、署名押印することで作成される遺言書のことです。手軽に作成できるため、最も一般的な遺言書の形式です。費用もほとんどかかりません。
ただし、自筆証書遺言は法的効力がなかったり、紛失・改ざんなどのリスクがあります。こういったリスクを減らすために、最近では自筆証書遺言を法務局で保管する制度があり、保管費用として数千円程度が必要です。
【公正証書遺言】
公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思を文書にまとめ、公証役場で作成される法的に有効な遺言書の一種です。遺言者が公証人の前で意思を確認し、証人2人の立会いのもとで作成されるため、内容の信頼性や確実性が高いのが特徴です。
費用は5万円から10万円程度かかりますが、自筆証書遺言のように無効になるリスクが低く、遺言執行時にトラブルが起きにくいというメリットがあります。
葬儀費用
葬儀費用は葬儀の形式や規模によって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
【家族葬】
家族葬とは、家族や親しい友人のみで行う小規模な葬儀形式です。費用は一般的に30万円から80万円程です。
【一般葬】
一般葬とは、多くの参列者を招く一般的な葬儀形式です。規模にもよりますが、費用は50万円から150万円程かかります。
【直葬】
直葬とは、通夜や告別式を行わず、火葬のみを行うシンプルな形式です。費用は10万円から30万円程が一般的です。
墓地の購入
墓地の購入費用は、立地や墓地の種類によって大きく異なります。
【都市部の霊園】
都市部は土地代が高いため、墓地の費用も高額になります。場所や大きさによって変わりますが、100万円から300万円程かかるのが普通です。
【郊外の霊園】
郊外や地方の場合、都市部よりも比較的費用を抑えることができます。費用は50万円から150万円程です。
【納骨堂や永代供養墓】
墓石を立てるのではなく、建物内に納骨する形式です。費用はさらに抑えられ、10万円から50万円程です。
生前整理
生前整理は、生活環境や部屋・持ち物などを整理することを言います。
【業者に依頼する場合】
部屋の広さや物の量によって異なりますが、10万円から50万円程が一般的です。費用はかかるものの、プロの手で効率よく整理が進むため、自分で行うよりも時間と労力が軽減されます。
【自分で行う場合】
自分で行う場合費用はほとんどかかりませんが、時間と労力が必要になります。計画的に進めることが大事です。
不用品・遺品整理
遺品整理や不用品の処分には、以下のような費用がかかります。
【専門業者に依頼する場合】
部屋の広さや物の量、処分する品物の種類によって費用は変わりますが、一般的には10万円から30万円程かかります。また、大型家具や家電の処分には、別途料金がかかることがあります。
【自治体の回収サービスを利用する場合】
自治体によって異なるので一概に言えませんが、5000円から3万円程で行えます。自治体の回収サービスを利用すると、比較的低コストで処分できますが、回収品目やスケジュールに制約があります。
一人暮らしの女性が終活を行うメリット
一人暮らしの女性が終活を行うことには、以下のようなメリットがあります。
災害によるケガや万が一の病気の際の対策になる
終活を通じて防災対策をしたり医療関連の情報を整理したりしておくことで、災害時や病気の際にも迅速に対応できるようになります。家具の固定や避難経路の確認、緊急時に連絡するべき人や医療機関の情報、持病や服用している薬の情報を整理してまとめておくことが大事です。
防災・防犯・病気・介護などの予防につながる
防災や防犯対策を見直したり、介護に備えた準備をしたりすることで、日々を安心して生活できます。防犯カメラの設置やセキュリティシステムの導入は、女性の一人暮らしにとって大きな安心材料になるでしょう。また、将来必要になるかもしれない介護サービスについても早めに調べておくと、いざというときに役立ちます。
孤独死のリスクや死後の不安を軽減することができる
終活を進めることで、孤独死のリスクを減らすことができ、また死後の手続きや遺品整理をスムーズに行うことができます。友人や家族と定期的に連絡を取り合う習慣をつけ、いざという時の安否確認の手段を確保しておきましょう。人との交流を持つことは、生活を充実させ、孤独感や不安感を減らすことにも繋がります。 また、死後の手続きや遺品整理を行なっておくと、「自分の死後、自分の持ち物や生活環境がどうなるのか」といった不安を解消できます。
財産整理や資産形成で経済的な安心感を得られる
自身の財産や資産の一覧を作成・整理したり資産運用を見直したりすることで、老後の生活費を確保し、老後の生活設計が立てやすくなるでしょう。また、遺産の分配方法を決めて公正証書遺言を作成することで、自分の死後に起こりうる不要なトラブルを回避できます。
老後に向けてのライププランや心の準備が整う
終活を通じて老後のライフプランや心の準備を整えておくと、安心して老後を迎えることができます。老後の生活設計を考えたり新たな目標を設定したりすることは、長い老後をどう過ごすかを具体的に考えるきっかけになるでしょう。その中で老後に楽しむ趣味や活動を見つけることができるかももしれません。
友人や専門家など、頼れるパートナーとの関係を築ける
終活を進める中で、友人や専門家との関係を築くことができ、必要な時にサポートを受けやすくなります。定期的に友人と会って互いに助け合える関係を作ったり、地域のコミュニティ活動に参加して支え合える関係を築いたりすることは、老後の生活を充実させる糧になるはずです。また、弁護士や税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家と連携し、必要な助言を受けられる体制を整えておけば、何か困ったことやトラブルがあったときに安心です。
一人暮らしの女性の終活のポイント!準備すべき7つの項目
一人暮らしの女性が終活を行う際には、さまざまなリスクや不安を軽減するためにしっかりと準備することが重要です。以下に、終活を始める際に準備すべき7つの項目について詳しく説明します。
1. 防災・防犯を意識した暮らしの見直し
家具の配置や固定
地震対策として、家具の配置を見直し、倒れやすい家具はしっかりと固定しましょう。特に重い家具や家電製品は、転倒防止グッズを使って固定することで、怪我のリスクを減らせます。
避難ルートや避難場所の整理
非常時に備えて、住居内外の避難ルートを地域の避難場所を確認しておきましょう。また、防災リュックなどを揃えて必要な持ち出し品を用意しておくことも大切です。
防犯設備の見直し
防犯カメラやセンサーライトなどの防犯設備を見直し、必要に応じて設置・強化しましょう。あわせて、玄関や窓の施錠は徹底し、万が一の侵入を防ぐために安全な鍵を使用することが大事です。
周辺環境の安全性の確認
住んでいる地域の治安や防災対策状況を確認し、必要に応じて引っ越しを検討することも一つの方法です。安全な地域に住むことで、日常生活の安心感が増します。
条件が整った場所への引っ越しも検討
住環境の安全性や利便性を考慮し、より安全で便利な場所への引っ越しを検討することも終活の一環です。特に高齢者向けのサービスが充実している地域を選ぶと良いでしょう。
2. 孤独死を防ぐための環境整備
両親・友人と日々の安否確認を行う
定期的に家族や友人と連絡を取り合い、安否確認を行うことで、孤独死のリスクを減らせます。実際に会うのはもちろん、電話やメール・SNSなどを活用してコミュニケーションを維持しましょう。
新しい交流を増やす工夫を行う
地域のコミュニティや趣味のサークルに参加し、新しい人間関係を築くことで、社会的な孤立を防ぐことに繋がります。近隣の自治体が運営するコミュニティセンターやスポーツセンターなどで開催されているイベントをチェックして、気になるものに参加してみると良いでしょう。新しい交流を持つことで、心の若さや健康も保たれます。
将来的な訪問サービスなどの利用も検討する
一人暮らしの女性は、健康上の理由から一人での生活が難しくなったときの不安があるかと思います。見守りサービスや訪問介護サービスの利用を検討し、必要に応じて契約しておくと安心です。これらのサービスを活用することで、一人暮らしの不安を軽減できます。
3. 医療・介護関連の情報を整理する
いざというときに頼れる病院や施設
緊急時に頼れる病院や介護施設の情報をリストアップし、いつでも確認できるようにしておきましょう。また、かかりつけ医の情報も整理しておくことが大事です。
かかりつけ医や保険証番号を整理する
健康保険証やかかりつけ医の連絡先・持病や薬の情報を整理し、いつでも取り出せる場所に保管しましょう。万一何かあったときの対応がスムーズになり、命を守ることにも繋がるでしょう。
持病や薬の情報を整理
持病や常用している薬の情報をまとめ、緊急時に医療機関に提供できるようにしておきましょう。アレルギーや既往症なども含めて詳しく記載しておきます。
保険の見直し
将来的な医療費や介護費用に備えるための保険を検討することも大切です。生命保険や医療保険の内容を見直し、必要に応じて変更や追加を行いましょう。
4. 財産整理・資産形成
財産目録などを作成し、必要な手続きも把握する
自分の財産を一覧にまとめ、必要な手続きを把握しておくことで、遺族に負担をかけずに済みます。銀行口座や不動産、保険などの情報を整理し、分かりやすくまとめましょう。
資産形成を行い、老後資金を確保する
老後の生活を安心して過ごすために、資産形成を行い、十分な老後資金を確保しましょう。定期預金や投資信託、年金保険などを活用して計画的に資産を増やします。ライフスタイルや資産の大小によって最適な方法は異なるので、自分で判断がつかない場合は専門家に相談すると良いでしょう。
5. 身辺整理(断捨離・デジタル管理)
不用品の処分を計画し段階的に断捨離を進める
老後のことを考えるようになったら、家の大掃除や衣替えをする際などに不用品の整理を行い、必要なものだけを残すようにしていきましょう。断捨離を進めることで身の回りがスッキリするので、心の整理にもなります。不用品の処分は自分で思っている以上に時間がかかることも多いので、長期的に計画しながら取り組んでいくのがおすすめです。
大型家具などは使いやすいものに買い直しなども検討
使いにくい大きな家具や家電は、思い切って買い直すことも検討しましょう。使いやすいものにすることで、老後の生活が快適になるだけでなく、現在の生活の質も向上します。
デジタルデータの断捨離や整理を行う
現代人にとって、デジタルデータの断捨離・整理はとても重要です。パソコンやスマートフォンのデータは定期的に整理し、もしも何かあったときに他人に見られたくないような情報は削除したり、必要な情報はすぐに取り出せるようにしたりしておきます。SNSのアカウントについては、緊急時の対応機能がついているものもあるので、利用すると良いでしょう。
6. 死後の対応
身元引受人や死後事務委任契約を結ぶ
一人暮らしの女性の場合、死後の手続きをスムーズに進めるために、身元引受人や死後事務委任契約を結んでおくことが大事です。この作業をしていくことで、遺族や友人に負担をかけずに済みます。
葬儀やお墓の生前契約を検討する
葬儀やお墓の生前契約を行い、希望する葬儀の形やお墓の場所を決めておくのも良いでしょう。生前に契約することで、費用の準備もでき、遺族の負担を軽減できます。
ペットの飼い主や引受先を決めておく
ペットを飼っている場合、万が一の際に備えて、飼い主や引受先を決めておくことが大切です。信頼できる家族や友人にお願いし、ペットの将来も安心できるように準備します。
7. エンディングノートや遺言書を準備する
これまで整理・まとめた情報をエンディングノートにまとめる
終活で整理した情報は、エンディングノートにしてまとめておきましょう。必要な情報を一つにまとめておくことで遺族や友人の負担を減らすことができます。また、自分の希望やメッセージを書いておくこともできるので、自分自身の心の整理にも繋がるでしょう。
エンディングノートには法抵抗力がないため遺言書の作成も検討する
エンディングノートは必要な情報やメッセージを書いておくのに最適なものですが、エンディングノートには法的効力がありません。そのため、財産分与や法的な手続きが必要な事項については遺言書を作成することを検討しましょう。公正証書遺言や自筆証書遺言など、適切な形式で作成します。
エンディングノート・遺言書の管理や場所を両親や友人を共有する
エンディングノートや遺言書は安全な場所に保管し、信頼できる家族や友人に保管場所を伝えておきましょう。残された人たちが必要なときにすぐに確認できるようにしておくことが大事です。
終活についてわからないときは?相談先をチェックしておこう
終活を始める際、何をどのように進めれば良いかわからないことが多いものです。そこで、終活に関する相談ができる様々な窓口や専門家をご紹介します。
終活全般を相談
1.【民間の終活相談窓口】
民間企業やNPO法人などが運営する終活相談窓口では、終活全般に関するアドバイスを受けられます。専門のアドバイザーが個別に相談に乗ってくれるため、具体的な手続きや進め方について詳しく教えてもらえます。
2.【行政の相談窓口】
市区町村の行政窓口でも終活に関する相談を受け付けています。高齢者支援センターや福祉課などで、地域の支援サービスや制度についての情報を提供してもらえます。無料で相談できるので、まずは行政窓口を訪れるのも良いでしょう。
3.【終活のセミナーやイベント】
各地で開催される終活セミナーやイベントに参加することで、多くの情報を得ることができます。専門家による講演やワークショップを通じて、終活の基本や最新の情報を学ぶことができます。ネットで開催情報を調べてみましょう。
不用品や断捨離の相談
1.【片付けコンサルタントや断捨離アドバイザー】
片付けのプロであるコンサルタントや断捨離アドバイザーに相談することで、効率的に不用品を整理する方法を学べます。具体的なアドバイスや手順を教えてもらいながら、一緒に作業を進めることも可能です。
2.【不用品や生前整理の代行業者】
自分で整理する時間や体力がない場合には、不用品や生前整理の代行業者を利用するのも一つの方法です。プロのスタッフが迅速に整理・処分を行ってくれるため、時間と労力を大きく省くことができます。
終活のお金、遺言書の作成に関する相談
1.【弁護士】
遺言書の作成や相続に関する法律的な相談は、弁護士に依頼するのが安心です。法的なアドバイスを受けながら遺言書を適切に作成することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
2.【税理士】
相続税や贈与税などの税務に関する相談は、税理士に任せると良いでしょう。税務の専門家として、最適な節税対策や税金の手続きについてアドバイスをしてくれます。
3.【司法書士】
不動産の名義変更や遺言書の作成に関する手続きは、司法書士に相談するとスムーズに進められます。登記や法律手続きに関する専門的な知識を持っているため、安心して任せられます。
4.【銀行】
銀行では、遺言信託や相続信託といった終活関連の金融商品を取り扱っています。資産の管理や運用に関する相談もできるため、金融機関を通じて計画的に資産を運用することが可能です。
5.【ファイナンシャルプランナー】
ファイナンシャルプランナーに相談することで、ライフプランに基づいた資産形成や老後資金の準備についてアドバイスを受けられます。個別のライフスタイルに合わせた最適なプランを提案してもらえので、どうしたらいいかわからない人は相談してみると良いでしょう。
終活の医療・介護の相談
1.【お住まいの地域の医療・介護機関】
地域の病院や介護施設では、医療や介護に関する相談を受け付けています。将来の介護計画や緊急時の対応について、かかりつけ医や看護師に相談しておくと安心です。
2.【地域包括支援センター】
地域包括支援センターでは、高齢者の生活全般に関する相談を受け付けています。介護保険の申請や在宅介護サービスの利用方法についてもアドバイスしてくれます。
3.【行政の相談窓口】
市区町村の福祉課や高齢者支援センターでは、介護や医療に関する様々な情報を提供しています。地域で利用できるサービスや支援制度について詳しく教えてもらえます。
死後の対応についての相談
1.【葬祭業者・互助会】
葬儀の手配やお墓の準備については、葬祭業者や互助会に相談するとスムーズです。希望する葬儀の形や費用について詳しく説明してもらい、生前契約を検討することも可能です。
2.【家族の菩提寺や霊園】
家族の菩提寺や霊園に相談することで、墓地や納骨に関する具体的な手続きを教えてもらえます。宗教的な儀式や習慣についてもアドバイスを受けられるため、安心して準備を進められます。
まとめ
一人暮らしの女性が終活を行うことで、さまざまなリスク対策を講じられ、安心して老後を迎えることができます。防災・防犯対策や健康管理、財産整理を通じて、経済的な安心感を得ることができるだけでなく、友人や専門家との関係を築くことで、必要なサポートを受けやすくなります。終活は、自分自身の未来に対する準備を整える重要なプロセスです。最近では若いうちから終活を始める人も多くいます。ぜひ積極的に取り組んでみてください。