お葬式コラム

親の終活は一緒にやるべき?家族で手伝うことのメリット・進め方を解説!

親がある程度の年齢になってくると、親の終活について考える人が多くなるのではないでしょうか。家族が手伝って一緒に進めるべきなのか、親に任せた方がいいのか、迷う人もいるかと思います。また、具体的に何から始めたらいいのか、どんなことをすべきなのか分からない人もいるでしょう。そこでこの記事では、親の終活の進め方や家族で手伝うことのメリットなどについてご紹介します。

親の終活は一緒にするべき? 一緒に行うメリットとは?

終活とは?

残りの人生の豊かに過ごす

終活は、人生の終わりに向けた準備を行う活動で、自分がやり残したことや挑戦したいことを見つけ、豊かで充実した時間を過ごすためのものです。身辺整理をしたり、財産や資産をまとめたり、不要なものを処分したりするのが主な作業です。このほか、ずっと行きたかった旅行に行く・趣味に没頭する・親しい人との時間を大切にするなど、今しかできないことに取り組むのも終活だと言えます。

後悔がない選択のため

人生の終わりを迎えるにあたり、自分がどのように生きたいか・どのように終わりを迎えたいかを明確にすることで、後悔のない選択をすることができます。自分の意思を反映した医療や介護の選択、葬儀の形式などを事前に決めておくことが、後々の安心につながるでしょう。

残された家族のために行う

自分が亡くなった後、家族が困らないようにするためにも終活は重要です。財産や遺品の整理、葬儀の準備などを事前に行っておくことで、家族にかかる負担を軽減し、スムーズに事後処理を進めることができます。

終活とは?

気力・体力が必要な作業を効率的に行える

高齢の親にとって、重い物を運ぶ・長時間の整理整頓など、気力や体力を必要とする作業は大変です。家族が一緒に手伝うことで、これらの作業を効率よく進められます。

遺品整理の負担を減らせる

遺品整理は精神的にも肉体的にも負担が大きい作業です。親が生前にどのようなものを大切にしていたかを知ることで、後々の遺品整理がスムーズになり、家族の負担を軽減できます。

親の意思を反映しながら準備ができる

親の希望や意向を直接聞きながら準備を進めることで、親の意思を尊重した形で終活を進められます。親も安心して終活に取り組むことができるはずです。

親の財産を把握することができる

親の財産状況を一緒に確認することで、どのような資産があるのかを把握できます。そうすることで相続や遺産分割の際にトラブル防止につながるでしょう。

自分の終活の際に活かせる

親の終活を手伝うことで、自分自身の終活の際に役立つ経験や知識を得られます。親と一緒に終活を進めていく中で、自分自身も終活について考えるきっかけになります。

デメリットはある?

親のメンタルに悪影響になることも

終活について話すことが、親にとって精神的に負担になる場合があります。死について考えることがストレスとなって気持ちが沈んでしまうこともあるので、親の気持ちを尊重しながら焦らずに進める必要があるでしょう。

家族間のトラブルにつながる可能性がある

終活を進める過程で、家族間で意見の食い違いが生じることがあります。相続や遺産分割に関する意見の対立などが原因で、家族間のトラブルにつながるケースも。家族全員が納得する形で進めることが重要です。

親に終活を促すには?コミュニケーションのコツと進め方のポイント

親に終活を促すコミュニケーション

まずは自分ではじめておく

親に終活を勧める前に、まず自分自身が終活を始めてみると良いでしょう。自分が先に始めておけば、親に対して具体的な例を示すことができるので、説得力が増します。また、自分の体験を共有することで、親も終活に興味を持ちやすくなるはずです。

無理に押し付けず親の意見を尊重する

終活が大事だからといって、無理強いするのはいけません。親に終活を押し付けるのではなく、親の意見や気持ちを尊重することが大切です。親がどうしたいのか、どのような準備をしたいのかをしっかりと聞き、それに基づいてサポートする姿勢が大切です。

焦らず時間をかけて利点を伝える

終活の重要性や利点を一度に理解してもらうのは難しいかもしれません。焦らず、時間をかけて少しずつ説明し、親が納得できるようにしましょう。具体的な事例や実際に役立つ情報を提供することで、親も終活の必要性を感じやすくなるはずです。

親の終活に一緒に取り組むときのポイント

意見交換してルールに縛られないようにする

終活を進める際には、親と意見交換を頻繁に行い、柔軟な対応を心がけましょう。終活には決まったルールはありません。無理に進めるのではなく、親のペース・希望や状況に合わせて進めることが大切です。

両親が元気なうちにはじめる

終活は、親が元気で自立しているうちに始めるのが理想です。健康なうちに終活を進めることで、親自身が積極的に関与でき、意思を反映した準備がしやすくなります。また、早めに始めておけば予期せぬ事態に備えることもできます。

他の兄妹にも相談しサポート体制を整える

終活を進める際には、他の兄妹にも相談し、家族全員でサポート体制を整えることが重要です。家族全員が協力することで、親に対するサポートが充実し、終活がスムーズに進むでしょう。また、家族全員が同じ方向を向いていれば、トラブルも防ぎやすくなります。

必要な情報をピックアップしておく

終活を進めるにあたって、必要な情報をピックアップしておくことが大切です。例えば、財産の状況・医療や介護の希望・葬儀の形式など、事前に確認しておくべき事項をリストアップし、親と一緒に確認しておきましょう。こうすることで終活を効率的に進められるようになります。

親の終活でやるべきことは?

エンディングノートを書いてもらう

エンディングノートとは?

エンディングノートは、個人が自身の人生の終わりを迎えるにあたり、残された家族や友人に対して伝えたいことや、後の手続きを円滑に進めるための情報をまとめたノートです。具体的には、財産の状況や医療・介護に関する希望、葬儀の詳細、メッセージなどを記載します。

書き方は?

エンディングノートの書き方は特に決まりはありませんが、以下のような内容が一般的です。

  • 基本情報:氏名、住所、生年月日、家族構成など
  • 財産情報:銀行口座、不動産、保険、証券など
  • 医療・介護の希望:どのような治療を望むか、介護が必要になった場合の希望
  • 葬儀に関する希望:葬儀の形式、遺影、祭壇、戒名、埋葬方法など
  • メッセージ:家族や友人へのメッセージ
  • その他:ペットの世話、デジタルデータの管理、特に伝えておきたいこと

なお、具体的なフォーマットは市販のエンディングノートを利用するのが便利です。また、定期的に内容を見直し、最新の情報に更新することも重要です。

身辺整理を一緒に行う

モノの断捨離

親の持ち物を整理し、不要なものを処分します。これには衣類や家具・家電製品・本・雑貨などが含まれます。親と一緒に、何が必要で何が不要かを確認しながら進めましょう。

コトの断捨離

生活の中での習慣や不要なサービス契約を見直します。例えば、使っていないサブスクリプションサービスの解約・不要な郵便物の停止などです。

ヒトの断捨離

疎遠になっている人間関係も整理しましょう。特に、連絡を取らなくなった友人や知人、もう関わる必要がないと感じる関係などを見直します。

デジタルデータの断捨離

パソコンやスマートフォンに保存されているデータの整理も大事です。不要なファイルやアプリケーションを削除し、重要なデータはバックアップを取っておきましょう。
また、アカウント情報やパスワードの管理も重要です。万一のために重要なパスワードは一つのアプリやフォルダにまとめ、家族でそのことを共有しておきましょう。

財産目録・遺言書の作成を検討する

遺言書とは?

遺言書は、故人が自身の死後に財産をどのように分配するかを記載した法的文書です。遺言書があることで、遺産相続の際のトラブルを防ぐことができます。

財産目録とは?

財産目録は、故人の所有する財産を一覧にまとめたものです。具体的には、銀行口座の残高、不動産、株式、保険などの詳細を記載します。

遺言書の作り方

遺言書は以下の形式で作成できます。
・自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が自ら全て手書きで作成する遺言書のことです。最も簡便な形式であり、自分一人で作成できるため費用もかからない点が特徴です。ただし、法的に有効と認められるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
・公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人役場で公証人が作成する遺言書のことです。公証人が遺言の内容を確認し、遺言者の意思を正確に反映させた上で作成されるため、信頼性が高く、法的トラブルを避けることができます。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が遺言の内容を秘密にしたまま作成できる遺言書の形式です。この遺言書は、遺言者自身が書いたものでなくてもよく、ワープロや代筆によって作成することが可能です。遺言の内容は秘密にされ、公証人によってその存在が証明されるため、内容を秘密にしたい場合に利用されます。

遺言書は誰に依頼する?

遺言書の作成には、弁護士や行政書士に依頼することが一般的です。特に、財産が複雑な場合や法的な問題がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。

医療・介護・保険に関する情報を整理する

医療関連で準備すべきこと

将来の医療に関する希望を明確にしておきます。例えば、どのような治療を望むか、延命措置の有無など。また、かかりつけ医や病院の情報、健康保険の情報も整理しておきましょう。

介護関連で準備すべきこと

介護が必要になった場合の希望や、利用したい介護サービスをまとめます。介護保険の情報や、利用可能な施設・サービスのリストを作成しておくと良いでしょう。

保険関連で準備すべきこと

生命保険や医療保険・年金保険などの保険契約内容を整理します。保険証書や契約内容の確認を行い、必要に応じて見直しを行います。

お墓や葬儀の希望をまとめる

お墓の準備

お墓の場所や形式・墓石のデザインなどの希望を明確にします。すでにお墓がある場合は、その詳細を記録し、新たに準備する場合は親の意向を反映した形で選定しましょう。

葬儀の準備

葬儀の形式(宗教的な儀式、家族葬、直葬など)や場所・葬儀社の選定などを行います。葬儀費用の目安や葬儀の際に流す音楽・使用する写真なども親と相談して決めておきましょう。

誰に相談する?

葬儀やお墓の準備については、葬儀社やお墓の管理会社に相談するのが一般的です。もしくは終活カウンセラーやアドバイザーに相談すると、スムーズに準備を進めることができます。

死後のペットの世話について一緒に考える

親がペットを飼っている場合、死後のペットの世話についても考えておくことが大切です。具体的には、ペットの新しい飼い主を探す、ペットのための信託を設定するなどの方法があります。家族や友人・ペットシェルターなどと相談し、ペットが安心して生活できる環境を整えておくようにしましょう。

終活について相談できる専門家は?

終活をスムーズに進めるためには、各分野の専門家に相談することが大切です。以下に、それぞれの専門家の役割や相談できる内容について紹介します。

終活相談員・アドバイザー

終活相談員や終活アドバイザーは、終活全般についてのアドバイスを提供する専門家です。
主な役割は、終活に関する総合的なアドバイス・エンディングノートの作成支援・終活計画の立案・各専門家への橋渡しなど。相談できる内容は、終活全般に関する質問やエンディングノートや財産整理の方法・終活を進める上でのスケジュール管理など。
終活の具体的な手順や注意点、個別のニーズに応じたアドバイスがほしい場合は、終活相談員や終活アドバイザーに相談してみると良いかもしれませんね。

行政の終活関連サービス

地方自治体や行政機関が提供する終活関連サービスは、地域住民の終活をサポートするための公的サービスです。無料または低価格で利用できることが多く、信頼性が高いのが特徴です。
主な役割は、終活に関する情報提供・公共サービスの紹介・各種手続きのサポートなど。相談できる内容は、公共施設の利用方法や行政サービスに関する質問・公的な遺言書保管制度の利用方法などです。

遺品・不用品業者

遺品整理や不用品処分を専門とする業者は、遺品の整理や不要な物品の処分を手伝ってくれる専門家です。遺品の整理や分類・不用品の処分・貴重品の発見と保管・清掃サービスなどを請け負ってくれます。
遺品整理の方法や不用品の処分費用・貴重品の取り扱い方などについて知りたいことがある場合は、こういった業者に相談してみると良いでしょう。特に体力的に厳しい作業や大規模な整理が必要な場合に役立ちます。

行政書士

行政書士は、法律に基づいた書類作成や手続きを代行する専門家です。特に相続や遺言書の作成に関する相談に強いので、遺言書の作成支援を受けたい・相続に関する手続きの相談をしたい・相続手続きの代行をしてほしい・法的書類の作成に関して相談したいといった場合に利用すると良いでしょう。

弁護士

弁護士は、法律に関する専門的なアドバイスや法的手続きを代行する専門家です。特に遺産分割や相続紛争など、複雑な法的問題に対応してくれます。相続に関する法律問題や遺産分割の方法・法的トラブルの解決について相談したい場合は、弁護士を頼ってみてください。

まとめ

いつかは考える必要がある、親の終活問題。親だけに任せるのではなく、コミュニケーションをしっかり取りながら一緒に進めていくのが理想です。家族全員で協力してサポート体制を整えることで、親も安心して終活に取り組むことができるでしょう。また、親の終活をきっかけに、自分自身の終活についても考える良い機会となるはずです。自分たちだけでは難しい場合は、専門家の力を借りることも念頭に。今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてくださいね。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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