お葬式コラム

葬儀の喪服とは?マナーと身だしなみで覚えておきたいポイント

喪服は、葬儀や法事などの弔事において故人への敬意と哀悼の意を表すために着用する特別な服装です。日本文化では、喪服の選び方や着用には厳格なマナーがあり、正しい身だしなみを整えることが大切です。この記事では、喪服の種類やマナー・男女別の喪服の選び方やポイントと注意点、また喪服を持っていない場合の対処法について詳しく解説します。

喪服とは?種類と礼服との違い

喪服とは?

喪服とは、葬儀や法事などの弔事に際して着用する特別な服装のことを指します。故人への敬意と哀悼の意を示すために黒を基調とした控えめなデザインが特徴的です。日本の文化において、喪服は厳格なマナーに基づいて選ばれるため、正しい服装を身に着けることはとても重要です。

喪服と礼服の違い

礼服は結婚式や成人式、授賞式などの正式な場に着用するものです。一方、喪服は弔事に限られた服装です。礼服は場合によって明るい色やデザインが許されることもありますが、喪服の場合は全身を黒で統一しデザインも控えめであることが求められます。この点が、喪服と礼服の一番大きな違いです。

喪服の種類

喪服にはいくつかの種類があります。どの場面でどの喪服を選ぶべきかは、故人や遺族との関係性や儀式の形式によって変わってきます。以下、喪服の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。

正喪服

正喪服は最も格式が高い喪服で、主に故人の近親者や弔事において重要な役割を果たす人が着用します。男性の場合、黒のスーツやモーニングコート、女性は黒のワンピースや着物が一般的です。喪服のなかで最も厳格なスタイルであり、喪主などが身に着けることが多いです。

略喪服(準喪服・平服)

略喪服は、平服とも呼ばれます。こちらは比較的格式が低く、一般の弔問客や、日常の法要の際に着用されることが多い服装です。男性はダークスーツに黒のネクタイ、女性はシンプルな黒のワンピースなどが一般的です。略喪服の場合、過度に厳格な服装を求められるわけではないため、弔問の立場や式の規模によっては、略式の服装が許されることが多いです。

【女性】喪服・身だしなみのマナー

葬儀に参加する際の、喪服・身だしなみのマナーについてご紹介します。女性の場合は、以下のようなポイントに注意しましょう。

全体を黒で統一、膝丈のワンピースやセットアップも可

女性が喪服を着用する際は、全体を黒で統一することが基本となります。黒は故人への哀悼の意を示す色であり、葬儀では控えめで厳粛な装いが求められます。服装としては、膝丈のワンピースやセットアップが一般的であり、派手さや華美なデザインは避けるべきです。あまり短すぎるスカートや、過度に体のラインを強調するデザインは控えるのが無難です。

肌の露出を控える

肌の露出を控えることも重要です。例えば、ノースリーブや襟元の開きすぎたデザインは、フォーマルな場にふさわしくないとされます。袖丈は長めのものを選び、胸元や背中が大きく開いていないデザインを心がけるのがマナーです。

ブラウスは白か黒、ストッキングは黒

インナーとして着用するブラウスは、黒か白が推奨されます。白のブラウスを選ぶ人が多い傾向にありますが、その際も派手な装飾やデザインが施されていないシンプルなものが適しています。ストッキングは黒を着用するのが一般的であり、肌色や柄物のストッキングは避けるべきです。黒のストッキングは、全体的に控えめで厳粛な印象を与えます。

コートはシンプルで地味な色味のものを

寒い季節には、コートを着る場合もありますが、喪服の上に羽織るコートもシンプルで地味な色味のものを選ぶのがマナーです。黒やダークカラーのコートが基本であり、無地で目立った装飾がない控えめなデザインのものが適しています。

アクセサリーは結婚指輪と1連パールのみ

アクセサリーに関しては、基本的に結婚指輪のみが許されており、他の装飾品は控えるべきです。ただし、一連のパールのネックレスは喪服にふさわしいとされ、身に着けることができます。二連以上のパールや華やかなデザインのネックレスは、葬儀の場では不適切とされます。

ネイルアートやつけ爪はNG

ネイルアートやつけ爪は、弔事の場では派手に映るため避けた方がよいでしょう。爪先が荒れているなどでネイルをせざるを得ない場合は、無色透明なものを選ぶなど、なるべく目立たないように注意してください。

靴、バッグは黒で皮以外のものを

靴やバッグについても黒で統一し、素材は光沢のないマットなものを選びましょう。かつては、殺生を連想させることから革製品はNGという意見がありましたが、革を避けると選択肢が狭まってしまうことから、最近ではOKなことが多いです。ただ。ヘビやワニを使った素材やスエードは避けるようにしてください。

メイクはナチュラルメイク・片化粧、髪はひとつにまとめる

メイクはナチュラルメイクが基本です。厚化粧や派手な色使いは控え、あくまで控えめで自然な仕上がりを心がけます。髪型もシンプルにまとめ、できるだけ一つに束ねるなど、落ち着いた印象を与えるように整えるのが理想です。

【男性】喪服・身だしなみのマナーは?

葬儀に参加する際の、喪服・身だしなみのマナーについてご紹介します。男性の場合は、以下のようなポイントに注意しましょう。

全体を光沢感のない黒で統一

葬儀は故人や遺族に敬意を示す場であるため、男性の場合も華やかさを感じさせない服装求められます。色彩は全体を黒で統一するのが基本で、喪服として選ぶスーツは光沢感のないマットな質感のものが推奨されます。光沢のある生地や派手なデザインは、弔事にふさわしくありません。

ワイシャツは白地

ワイシャツは白地のものを選ぶのが一般的です。シンプルな白の無地シャツは、喪服の下に着るインナーとしてふさわしく、厳粛な印象を与えます。

ネクタイも光沢感のない黒を

ネクタイは黒で光沢のない素材が適しています。派手な柄や装飾が施されたネクタイは避け、落ち着いたデザインのものを選びましょう。

靴とベルトは皮以外のものを

靴やベルトも黒で統一しましょう。素材は、女性の項目でもご紹介したように、最近では革製品を選んでも問題ないことが多いです。光沢のないマットな素材で、デザインや装飾が控えめなシンプルな靴やベルトを選びましょう。

アクセサリーは結婚指輪のみ。腕時計もNG

男性のアクセサリーについても、結婚指輪のみが許されており、その他の装飾品は避けるべきです。特に、腕時計は着用しないのがマナーです。葬儀の場で時間を気にする行動は、遺族や参列者に失礼とされるため、腕時計を外しておくことが望ましいでしょう。どうしても時計が必要という場合は、控えめなサイズ・デザインのシンプルなものを選びましょう。

コートも無地や紺のものを

女性と同様に、無地で紺や黒といった落ち着いた色味のコートを選ぶのが良いとされています。また、コートのデザインもシンプルで装飾が少ないものを選び、厳粛な雰囲気を壊さないようにすることが大切です。手袋をする場合も、黒やダークカラーを選びましょう。

喪服や身だしなみでよくある質問

葬儀に必要な持ち物は?

葬儀に参列する際には、いくつかの持ち物が必要になります。これらの持ち物を事前に準備しておくことで、葬儀の場でのマナーを守り、適切に振る舞うことができます。

数珠

まず必須なのは数珠です。数珠は仏教の葬儀で使用され、故人への祈りを捧げる際に手に持ちます。葬儀に参列する際は、必ず持参するようにしましょう。

袱紗(ふくさ)

袱紗(ふくさ)と呼ばれる、香典袋を包む布も必要です。現金を直接手渡しするのは失礼とされているため香典袋に入れますが、さらにそれを袱紗で包んで持参するのが正しいマナー。なお、香典袋には故人や遺族の宗派に合わせた表書きを書き、金額も適切なものを用意するようにしましょう。

黒のハンカチ

黒のハンカチも持参しましょう。ハンカチは涙を拭う際だけでなく、お手洗いに行った時に手を拭いたり、何かと必要になります。葬儀は厳粛な場であるため、派手な色や柄の入ったハンカチは避け、黒やダークカラーでシンプルなデザインのものを選びましょう。

黒のペン

会場で記帳を求められることがあるため、黒のペンをひとつ用意しておくとよいでしょう。

子どもの喪服はどうする?

子どもが葬儀に参列する際、特別に喪服を用意する必要があるかどうかは場合によります。
小さな子どもの場合、厳格な喪服でなくても良いとされることが多く、黒やグレー、白などの落ち着いた色の服装であれば問題ありません。特に幼児や小学生以下の子どもは、成長が早いため喪服を頻繁に買い替えるのは現実的でないこともあります。そのため、フォーマルな場にふさわしい色合いで、清潔感があり控えめなデザインの服を選べば十分です。例えば、黒やグレーのワンピースや、シャツとスラックスの組み合わせなどが適切です。
中学生や高校生は、より大人に近いマナーが求められるようになります。この場合、黒を基調としたフォーマルな服装が必要です。制服がある場合は、それを着用すれば問題ないでしょう。ただし、葬儀に適したネクタイや靴がない場合もあるかと思うので、黒でシンプルなデザインなものをひとつ準備しておくと便利です。

喪服を持っていない場合はどうする?

喪服を持っていない場合、まず検討したいのはレンタルサービスです。最近は、喪服のレンタルが手軽にできるようになっており、インターネットや店舗で簡単にレンタルが可能です。急な葬儀に参列する場合、喪服を購入する時間や費用を節約できるため、レンタルは非常に便利な選択肢です。レンタル業者によっては、必要なアクセサリーや靴もセットで提供している場合があり、すぐに使用できる状態で受け取ることができます。
もしレンタルや購入が難しい場合は、手持ちの服を工夫して代用することも可能です。光沢感のない黒いスーツやワンピースがあれば、それを喪服の代わりとして使用できます。アクセサリーや靴も、できるだけシンプルで控えめなものを選び、派手なデザインは避けましょう。葬儀の場では、華やかさを抑えた装いが最も重要視されるため、服装全体が落ち着いた印象になるよう心がけることが大切です。

まとめ

喪服を選ぶ際は、女性も男性も全体を黒で統一して華やかな装飾を避け、シンプルさと控えめさを心がけることが大切です。それが故人への敬意と弔意を示すことに繋がります。また、喪服の種類や場面に応じた適切な服装の選択も重要です。急な葬儀で喪服がない場合は、喪服のレンタルサービスなども活用し、正しい身だしなみで参加できるようにしましょう。喪服のマナーがわからないという方は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

佐々木 昌明ささき まさあき

佐々木 昌明ささき まさあき

葬祭現場にて実務経験を重ねた後、館長として25年以上の経験から儀式、法要など多岐にわたり終活や自分史をテーマにしたセミナー講師やパネルディスカッション等多くの活動を行う。
また、東日本大地震の際には現地へ赴き、被災地支援にも携わる。
●保有資格
・葬祭ディレクター技能審査制度(厚生労働省認定)
1級葬祭ディレクター
・一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団認定 
上級グリーフケア士

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